(3)は国際的に権威あるジャーナルとされる『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』に掲載されたことで知られています。
どれも一読すると、「は?」と疑問に思うでしょう。
(1)アイスクリームの売り上げが増えることが原因で水難事故が増えることに、因果関係はあるのでしょうか。そんなことはありません。ここには「気温」という交絡因子が関係しています。すなわち、気温が高いとアイスクリームの売り上げは増え、また、泳ぎに行く人が増えることで水難事故が増えるわけです。
(2)の例はどうでしょうか。これには「学年(年齢)」という交絡因子が潜んでいます。学年が上がると身長は高くなります。また算数の成績も当然、1年生より6年生のほうが上がります。
(3)の関係性には、「GDP(国内総生産)」という交絡因子が存在するとの説があります。国が豊かになるほどチョコレートの消費量は増加し、また勉強をする余裕も出てくるので、ノーベル賞受賞者数が増えるのではないか、ということです。
よくわからない因果関係をうたう表現に接したときは、そこに交絡因子が存在していないかを疑ってみましょう。
くじ引きは何番目に引くと
当たりやすいか
プロ野球のドラフト会議では、各球団が指名した選手が重複すると、球団代表者が選手の入団交渉権を獲得するためにくじ引きをします。わたしは毎年、どきどきしながら放送を見ています。ではそのくじは、何番目に引くと当たりやすいと思いますか。
3枚中、1枚のアタリが入っているくじの箱を3人で1回ずつ引くとき、「1番目」「2番目」「3番目」のうち、あなたなら何番目に引きますか。
確率の計算式は省略しますが、結果を言うと、「どの順番に引いても同じ」なのです。
では、2人でくじ引きをする場合はどうでしょうか。最初に引く?後で引く?100人の場合ではどうでしょうか。人数が多いと、最初や最後は避けたいと思うでしょう。
実は、2人であっても100人であっても、どんなに人数を増やした場合でも、何番目に引いたとしても、アタリくじを引く確率は参加者の全員が同じになるのです。
「くじ引きがもっとも平等」といわれるのはこうした確率の考えからです。