トランプ新政権への対峙で大きな試練
不動産不況・消費不振で「内憂外患」
1月20日に米国のトランプ第2次政権が発足した。
就任演説などでトランプ大統領は、「米国第一」の外交や安全保障、経済政策などを表明、選挙公約などで掲げていた「対中60%関税」への直接の言及はなかったが、「他国を豊かにするためでなく米国民を豊かにするため外国に課税する」と、外国歳入庁を設立すると表明。パナマ運河の返還を求める理由として「中国が運営している」ことをあげるなど、対中強硬姿勢を改めて強調した。
さらに21日には、中国への10%追加関税を検討する意向を語った。こうした表明は対外交渉を有利に進める「取引(ディール)」の材料とする見方もあるが、25年の中国経済は米国による関税大幅引き上げなどの対中強硬策が強い逆風になることは確実だ。
だが問題はそれだけではない。
不動産不況の長期化と消費の不振からデフレ圧力が強まっていることだ。節約志向の高まりで小売業の値下げ競争が激化しており、電子商取引(EC)サイトでは取引単価は大幅な下落基調だ。
中国は第1次トランプ政権期にはなかった深刻な国内経済問題を抱えつつ、第2次トランプ政権と対峙する内憂外患だ。
トランプ政権への対中強硬策への対応が最優先事項になることは当然だが、習国家主席はデフレ不況に陥るリスクを軽視しているように見受けられ、政策判断を誤ると、中国経済は深刻な悪化に直面する恐れがある。