世はSUVブーム!今やランボもロールスもフェラーリもSUV造ってますからね

「今さらなんだ!」と言われそうだが、SUVがブームである。

(実際に走る機会はほとんどなくとも)悪路も走れる高い走破性。

(実際に積む機会はほとんどなくとも)たくさん荷物を積める優れた積載性。

(後々乗降性の悪さに辟易する事になっても)高い視点による運転のしやすさ。

(フォロワー数が絶望的に少なくても)インスタ映えする力強くタフなデザイン。

 こうした理由により、SUVは単なる移動手段を超え、自由でアクティブなライフスタイルを象徴する存在にまで成長した。

 立派な見栄えは所有欲を刺激する。周囲には「冒険心がありアクティブな俺」をアピールできる。おまけにリセール価格も高い。いい事ずくめである。SUVはよく売れている。だから自動車メーカーはどこも積極的にSUVを市場に投入している。今や、ランボもロールスもフェラーリさえも、積極的にSUVを造り、市場に投入している。

 この潮流を、目ざとい軽自動車業界が放っておくはずがない。何しろ軽自動車は我が国の乗用車の4割を占める巨大市場なのだ。流れに乗らない手はない。

SUV風味の軽自動車はなぜ現れたのか

 とはいえ軽自動車でSUVをゼロから立ち上げるのは非常に難しい。

 ジムニーのような本格派は、造るのにも売るのにも「それなり」の準備と覚悟が必要だ。買う側としても、最終的な購入決定権を握る奥様の同意を得るのはなかなか難しい。

 さてどうしたものか……。

 しかし考えてみれば、本気で悪路を走行しようとする人は限られている。

「SUVが売れているね。ウチも造らないと」
「軽で、ですか?」
「そらそうよ。日本は軽の国なんだから」
「でも今からジムニーを超えるクルマなんて造れませんよ。予算ないし」
「今さらラダーフレームを起こすわけにもいかんしなぁ」
「要は“それっぽければ”良いんじゃないですか」
「確かに。だれも本気で悪路走行しようなんて思っていないし」
「せいぜいがキャンプ場入口までのラスト1マイルでしょう」
「本格派の客はジムニーにお任せして」
「既存のスーパーハイトワゴンをSUVテイストにしたら売れるかも」
「そうそうそうですよ。ウチはもともと4駆仕様もあるんだし」
「いけるかも」
「やりましょう」(以上、小田嶋隆先生テイスト)

 ……こんな会話がどこかの会社の企画会議で交わされたかどうかは不明だが、今や「SUVテイスト」をトッピングした軽スーパーハイトワゴンは大流行である。