第一生命ホールディングスは4月1日、稲垣精二社長が会長に就任し、専務執行役員の菊田徹也氏が社長に就任した。傘下の第一生命保険では、営業職員チャネルのコンプライアンス向上という重要課題を抱えている中、グループをどうまとめ、企業価値向上策をどのように考えているのか。新社長としての意気込みを聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 藤田章夫、片田江康男)
26年度に時価総額を倍増、30年度には10兆円を目指し
グローバルトップティア仲間入りを果たす
――2022年12月に社長就任が発表されてから約3カ月。目標や実現したいことなど、どのようにお考えか教えてください。
もともとホールディングス(HD)を設立したときから、グローバルな保険グループになることを標榜しています。引き続き、第一生命HDをグローバルで、トップティアの保険グループに進化、成長させていきたい。当社グループでは、保険事業を「保障」「資産形成・継承」「健康医療」「つながり絆」という四つの領域*で捉えています。これらの領域で、お客さまのウェルビーイング(豊かで健康な人生を送れること)に資するように、価値を提供していきます。
さらに、保険持ち株会社の強みを生かすことも考えています。傘下に置くことができる会社の業態にも柔軟性があります。専門性の高い人材を採用・登用して事業ウイングを広げ、成長を目指していきたいと考えています。
4月からは、現在の中期経営計画の3年目に入ります。2024年には次期中計がスタートすることになるのですが、まずこの1年間で、30年にどのような姿になるのかということを考えて、そこからバックキャスティングして次期中計をつくっていきます。
次期中計では、企業価値も保険業界トップクラスにしたい。企業価値にはいろいろな考え方がありますが、時価総額で言うならば、次期中計が終わるまでに、倍増することを目標として考えています。そして、30年には10兆円に近いところを目指したい。
なぜ10兆円なのかと言いますと、今のグローバルトップティアの保険会社グループは、時価総額が8~10兆円です。やはりいったん、この水準を目指していきたいです。
(編集部注:「保障」は保障性・医療商品などで生活の安定を提供、「資産形成・継承」は貯蓄性商品・投資信託などで豊かな老後を実現、「健康・医療」は健診割・メディカルサポート等で人々の健康を支援、「つながり・絆」はコミュニティ活性化支援などで望む生活の実現)
――時価総額を倍増するのは次期中計(3カ年)の最終年となる26年度末ということでしょうか。今の2.5兆~3兆円を倍増させるというのは、かなり野心的な目標ですね。
26年度末に6兆円にしたいということです。株価は市場が決めるものですので、私たちが決めるものではありませんが、やはり足元の株価水準は割安な状況にあると考えています。株価を上げていくには、二つの施策があると考えています。