エスカレーター校 クライシス#13Photo:PIXTA

開智国際大学などを擁する学校法人開智学園の「寄付金比率」(寄付金÷事業活動収入)は、なんと慶應義塾よりも高い。なぜ歴史の浅い学校法人がここまで寄付金を集められるのか。特集『エスカレーター校 クライシス』(全15回予定)の#13では、開智学園に寄付金が集まる理由を明らかにするとともに、偏差値など表の情報からは分からない「裏・成績表」を大公開する。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)

寄付金収入1位の慶應義塾
「寄付金比率」は4位

 幼稚園、小学校あるいは中学・高校から一貫教育が施されるエスカレーター校では、母校愛が育まれやすい。母校愛は寄付金というかたちで、学校法人の財源になる。慶應義塾のOB・OGが集う三田会が抜きんでた集金力を持つことはつとに有名だ。

 ダイヤモンド編集部では名門校を中心にエスカレーター校を運営する60学校法人を対象に、寄付金収入が多い学校法人のランキングを作成した(2023年度実績)。一部データが不明な7法人(獨協学園、聖心女子学院、帝京大学、東洋英和女学院、金城学院、近畿大学、西大和学園)を除いた53学校法人に順位を付けたところ、慶應義塾はやはり74.1億円で断トツとなった(下表参照)。

 ただ慶應義塾の寄付金収入について過去5年をさかのぼると、19年度は104.0億円、20年度162.7億円、21年度95.6億円、22年度67.9億円で、金額は縮小傾向にある。

 金額でのランキングだと学生数の多い大規模大学などを抱える学校法人が上位になりやすい。そこで寄付金が全体の収入にどれだけ貢献しているかを測るために、事業活動収入に占める割合「寄付金比率」(寄付金÷事業活動収入)が高い順でもランキングを作成した。

 このランキングで慶應義塾は4位。つまり慶應義塾を上回る学校法人が三つあった。

 次ページでは、寄付金比率ランキングを掲載するとともに、慶應義塾よりも寄付金比率が高い開智学園について、寄付金が集まる理由を明らかにする。また、ダイヤモンド編集部が独自に作成した「裏・成績表」から、偏差値や志願者数など表に広く出回る情報だけで測れない実力をあぶり出した。