
進学校を運営する桐蔭学園は、系列の桐蔭横浜大学で入学定員の100%を「年内入試」で確保する戦略を打ち出した。一般入試で入学者を集められないような大学は、エスカレーター校全体のマイナスブランディングになりかねない。特集『エスカレーター校 クライシス』(全15回予定)の#12では、それでも桐蔭学園が大学を続けるだろう理由に迫る。また、偏差値など表の情報からは分からない「裏・成績表」を大公開する。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)
定員割れで赤字の“全入”大学を
早めに閉学するのは合理的判断
付属の中学や高校は進学校なのに、大学の入試難易度が下がり、系列校の間で難易度の格差が拡大している。そんなエスカレーター校が増えている。
一般入試に受験者が集まらずに学力を問わない全入状態となった大学は、エスカレーター校全体のマイナスブランディングになりかねない。将来的にも定員割れのまま赤字を垂れ流し続ける見通しであるなら、早めに閉学するというのは合理的な判断である。
実際、恵泉女学園や海星女子学院は大学の定員割れが続いた結果、2024年度以降の大学入学者について募集を停止した。
幼稚園から小学校、中高、大学までがそろう桐蔭学園も冒頭のパターンではあるが、恵泉女学園や海星女子学院とは決定的な違いがある。だから桐蔭学園は傘下の桐蔭横浜大をやすやすとはつぶさないだろう。
次ページでは、この“決定的な違い”を明らかにする。また、桐蔭学園の「裏・成績表」を大公開。ダイヤモンド編集部が独自に設定した六つの指標で、稼ぎ、教職員の充実度、定員割れの状況などを評価した。