自分の弱みを補うチームづくりを
――若い経営者の方に伝えたいこと、残る2つとは何でしょうか?
3つ目は、小さくてもいいからチームをつくりなさいということです。
「利口な人間」と「利口でない人間」の違いはどこにあるかわかりますか? 利口でない人間は、自分の強みも弱みも理解していません。これに対し、利口な人間は、自分の強みを理解し、同時に弱みも理解しています。
さらにいえば、利口の上に「大利口」がいます。大利口とは、自分の強みも弱みも理解しているだけでなく、自分の弱みを補ってくれる人を周囲に配することができる人のことです。
――チームで成功した経営者も多いですよね。
いちばん有名なのは、HONDAの技術者であった本田宗一郎氏と、彼を経営面から支えた藤沢武夫氏でしょう。ソニーでいえば営業の盛田昭夫氏と技術の井深大氏。どんな大企業でも、チームで動いているところは強いですね。
――会社の中でチームをつくることが大事なのでしょうか?
そこがとても大事なところです。まずは会社の中でチームをつくるべきです。そして、これが4つ目のアドバイスになりますが、会社の外にも相談できる相手、つまりメンター(mentor)を持つべきです。
これは前回も少し述べましたが、特に若い経営者の方にとっては、親身になってアドバイスをくれる人生や経営の師を持つことが不可欠です。
――なぜですか?
20代、30代の経営者は、元気いっぱいでヤル気に満ち溢れて、能力の高い人も多い。しかし人生や経営の経験は少ない。これは欠点ではなく、経験値が浅いのでしかたないことなのです。
ですから、社運をかけるような大きな決断をするときには、経験豊かなメンターの意見に耳を傾ける必要があります。その際に大切なのは、自分なりの判断軸をちゃんと持っておくこと。メンターの意見をすべて鵜呑みにはしないことです。
――新さんも若い経営者の方のメンター的存在になっていらっしゃいますね。
はい。私がアドバイザーとして関わっている会社の経営者の中にも、キラッと光る将来性を持った優秀な経営者がいます。彼らの共通点を挙げるとすれば、人の言うことに謙虚に耳を傾けるということでしょう。
成功している経営者はみな、謙虚な心の持ち主です。つまりオープンマインドですよ。謙虚な心を持っていると、成功確率はグンと高まります。