トランプ始動3週間、米国民目線の「常識の革命」路線への支持は侮れないPhoto:Andrew Harnik/gettyimages

トランプ政権、周到さと不確実性が同居
米世論調査では7割が公約推進と判断

 トランプ第2次政権が発足して、3週間が経過した。

 この間、就任初日には移民流入規制強化やエネルギー、環境政策の転換などで、大量の大統領令が発令され、その後も連邦政府職員の早期退職募集や国際開発庁(USAID)の封鎖、中国向けの追加関税を発動。今のところ実施は停止されているが、不法移民と違法薬物流入阻止を理由としたカナダとメキシコに対する25%関税が発表された。

 だが表面的には、「トランプ2.0」は短期間に大ナタを振るったようにみえるが、大統領令などの中身をみると、関連する法律や大統領の権限、さらには政策実施時の潜在的な障害への対応など、事前に周到な検討が行われた形跡がうかがえる。

 カナダ・メキシコへの25%関税が発動1日前に、「1カ月停止」となるなど、トランプ政権の「不確実性」は依然として残るが、強硬な要求だけでなく、時に状況を見ながら柔軟に修正するということもありそうだ。

 7日(日本時間8日)の日米首脳会談でも、そうした一端は垣間見られた。日本側が懸念していた対日関税引き上げには言及せず、日本にアラスカ産LNGの輸入拡大や「1兆ドル投資」、防衛装備品の購入拡大を約束させて実利を取りながら、日米連携を演出してみせたかと思えば、10日には鉄鋼・アルミへの新たな関税賦課の意向を表明した。

 だが、硬軟織り交ぜての現実主義的な「米国第一」の路線は、米国民の支持を得られやすいと考えられる。

 実際、9日に米CBSテレビとユーカブが発表した世論調査(2月5日~7日の調査)では、就任3週間のトランプ大統領の支持率は53%(不支持は47%)、「選挙で公約した政策を進めている」と認識している人は70%に上る。

 日本は、混乱を呼ぶ個々の事象に振り回されず、俯瞰(ふかん)的に状況を見て判断し、機敏に対応していくことが重要になる。