ANAファースト機内食を5万9800円で堪能!

 ちょっと変わり種ですが、ANAの「翼のレストランHANEDA」をもう一度、体験したいですね。これは、コロナ禍で渡航制限があった時期にANAが企画したイベントで、空港に駐機している飛行機(ボーイング 777-300ER)の中で、ファーストクラスやビジネスクラスの機内食のフルコースを堪能するものでした。

 2021年3月31日に第1回が開催されて、私はファーストクラスに申し込みました。お値段は5万9800円。洋食の肉料理をチョイスしました。どれも美味しかったですよ。

よだれが出そう…機内食ジャーナリストが選ぶ、もう一度食べたい「ANAとJALの機内食」とは?Photo by R.O.
よだれが出そう…機内食ジャーナリストが選ぶ、もう一度食べたい「ANAとJALの機内食」とは?Photo by R.O.

お料理に合わせて、アルコールも飲み放題です。1本3万円弱のシャンパンも含めて、ワインを全種類テイスティングしましたから、そう高くはないというか、むしろ安いかもしれません。

よだれが出そう…機内食ジャーナリストが選ぶ、もう一度食べたい「ANAとJALの機内食」とは?Photo by R.O.

 普段体験できない楽しいイベントということで、お子さんを連れて来ている人も何組かいました。ステイホームの時期で、海外旅行や機内食が恋しくて仕方がなかったのですが、自分と同じように感じている人がこれだけいるのだな、と感慨深かったですね。

 そういうニーズに気付いたANAはその後、冷凍機内食の通信販売を始めました。自宅で機内食体験ができるというわけです。さらに、「レストランFLYING HONU」に新装開店(成田駐機のエアバスA380にてハワイ線専用メニューを味わうもの)して、累計1万人以上が参加したそうです。

 冷食の通販は今も続いているので、機内食レストラン企画も継続したらどうかと思います。新しいファンの開拓につながるのではないでしょうか。何日間も海外旅行はできないけれど、短時間でリッチな気分、非日常を味わいたい人は多いはずです。

――機内食がファンの獲得につながるのでしょうか。

 もちろん。他にも、個人的な要望も含めて提案があります。JALはボーイング747、通称「ジャンボ」を飛ばしていた時代に、上級クラスで「寿司バー」を設けていたんです。機内にすし職人が乗って、乗客の目の前で職人がすしを握って出していたそうです。

 これは、至高の機内食、究極の機内サービス体験になると思います。まさに日本の航空会社ならではの付加価値です。外国人の乗客にとって、「スシ」は非常に響くでしょうね。インバウンド獲得策にうってつけです。

 世界の航空会社の中でも最上級のワインを提供しているのがJALです。例えば、その希少価値から「幻のシャンパン」と呼ばれるフランスの「サロン」というシャンパンをJALのファーストクラスで飲むことができます。すしとのマリアージュを楽しむのに、ぴったりではないでしょうか。

よだれが出そう…機内食ジャーナリストが選ぶ、もう一度食べたい「ANAとJALの機内食」とは?寿司バーの様子 Photo:JAL
よだれが出そう…機内食ジャーナリストが選ぶ、もう一度食べたい「ANAとJALの機内食」とは?奥井力也(おくい・りきや)/機内食ジャーナリスト。1996年に旅行系ホームページを立ち上げ、2003年に「機内食ドットコム」を開設。著者に「みんなの機内食」(翔泳社)など。