
『JAL初の機内食をつくった「意外な高級ホテル」の名前』では、機内食の歴史について簡単に振り返った。100年以上続く機内食の歴史においては、凄まじいレベルの豪華さを誇ったものも存在する。航空史を彩った機内食、5選を紹介しよう。(ライター 前林広樹)※JALの貴重な写真も複数公開
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朝食に機内調理のスクランブルエッグ
パンアメリカン航空は高級ホテル並み
1950年代になると飛行機内で温かい食事が提供されるようになったが、この時代に飛行機に乗る人は大企業の社長や高級官僚などごく一部の富裕層に限られた。飛行機での移動そのものを楽しみにしている乗客を獲得するため、各社は贅をつくした食事を競い合った。
その中でもリーダー的存在だったのが、米国フラッグキャリア・パンアメリカン航空(パンナム)である。同社は東京拠点があり、旅行番組の金字塔『兼高かおる世界の旅』や大相撲の表彰式などにも登場したことから、日本人も憧れる外資系エアラインだった。
大西洋や太平洋を横断する長距離路線が主力のパンナムは、当時のキャビン・アテンダントがメディアのインタビューで「研修の7割を食事やサービスに費やした」と語るほど、機内サービスに力を入れていた。
この当時、なんとエコノミークラスでも、朝食に機内で調理したスクランブルエッグを振舞っていたというから驚きだ。ファーストクラスとなるとさらに豪華で、パリの高級レストラン「マキシム」のメニューを採用。キャビン・アテンダントはシェフ兼ウェイトレスさながら、乗客ひとりひとりに前菜とローストビーフを盛り付けサービスしていたそうだ。