ガクチカは体験だけでなく、そこで何を学んだかが大事

早稲田大学卒業後、東レ、ソニーでマーケティング等に従事。2013年ニトリ入社。人材採用部長として、学生の就活体験を重視した採用施策を実施。19年理事/組織開発室長。23年トイトイ合同会社設立。複数企業の経営者の下で組織開発を支援している。中央大学企業研究所客員研究員。
面接で必ずといっていいほど聞かれるのが学生時代に力を入れたこと、いわゆる「ガクチカ」だ。
「正直、留学でもボランティアでも、学生時代にやったことにバリエーションはさほどありません。その体験談が具体的であるかどうかが重要です。ある面接では、球場でビールを売るアルバイトをしていた学生が『ビールって、1試合で何杯売れると思いますか?』という質問からエピソードを展開したことがありました。一気に話に引き込まれましたね」
また、体験の羅列ではなく、そこで学んだことをいかに掘り下げられるかが勝負のポイントだ。
「結局のところ、企業が過去の体験談を通して見たいのは、学習能力や判断力です。例えばアルバイト先での体験をベースに『もし自分がここの店の経営者だったらこうするのに』というところまで言語化できれば、言うことなしですね」
最後に、過去の面接体験から導き出されたアドバイスを一つ。
「自己認識の精度が高い人ほど、面接官にウケがいいです。自分の強みと弱みが分かっている人は、地に足が着いていて、しっかりした人だと捉えられる。実際、強みを生かして積極的に物事を進めたり、弱みを成長の機会にできる人が多い。学生さんたちには、徹底的に自分のことを把握してから、面接に臨んでほしい」
自己認識とは、周囲との関係性から生まれるもの。日頃のコミュニケーションを通して、自分に対して、できる限りのフィードバックを集める努力を積み重ねることが、面接では大きな武器になるのである。