あおり運転対策の「王道」は
「速やかに道を譲る」こと

 あおり運転の標的にされた際の最適な対処法は、極めてシンプルなものです。後続車にあおられていると感じたら、速やかに相手に道を譲りましょう。速度を上げて離れようとすると、かえって相手が逆上してしまうことも考えられます。冷静にやり過ごすことを最優先に考えてください。

 それが難しい場合の対処法は、道路の種類によって少し異なります。一般道であれば、コンビニなどの店舗の駐車場に避難してください。その際は、できるかぎり人目につくところに駐車するのがポイントです。周囲の目があれば、トラブルに発展する危険性を下げることができるからです。

 高速道路であれば、サービスエリアやパーキングエリアなどの休憩施設に避難しましょう。あおられている状態で各種施設まで走行するのは大変かもしれませんが、圧力に屈して途中で止まってしまうと、相手と接触してトラブルに発展する危険性が高まるので避けましょう。後続車に追突されるリスクもあるため、特に車線や路側帯には絶対に停止しないようにしてください。

 それでもなお、相手が迫ってくるようであれば、ドアをロックして窓も閉め、警察に通報し、車内で待機します。相手が何を言っていても聞く必要はないので、絶対に窓を開けてはいけません。ドライブレコーダーやスマートフォンなどで動画を撮ることができれば、その後の捜査に役立てることができます。

意外と知られていない“奥の手”
「SOSボタン」とは?

 こうした一般的な対処法以外にも、有効なあおり運転対策はもう一つあります。

 それは、新型車などに装備されている「SOSボタン」を押すことです。メーカーによって「ヘルプネット」「SOSコール」「緊急通報ボタン」など多様な呼び名があるようですが、基本的な機能は同じ。ボタンを押すと外部のオペレーターと直接通話し、助けを求めることができます。
 
 本来は急な体調不良や事故などの際に使用する機能ですが、「あおり運転の被害にあっているときにもご使用ください」と、自動車メーカー側も公式に告知しています。

「あおり運転」されて危険を感じたら…意外と知らない“奥の手のボタン”とは?《あのときの話題を再発見》車内に搭載されているSOSボタン Photo:PIXTA

 オペレーターとの通話にはスマホを使わず、車内のマイクとスピーカーを使用し、座ったまま話すことができます。場合によっては、オペレーターが警察へ通報したり、救急車や消防車の出動を依頼したり…といった対応をしてくれます。

 ボタンを押した際に位置情報も共有されるため、不慣れな場所でボタンを押す場合も安心です。同乗者がおらず、ドライバーがひとりで運転しているときでも“味方”になってくれる人がいるのは心強いでしょう。