5年以下の懲役も…
他人を「あおる」代償とは

 さてここまでは、読者の皆さんがあおり運転の「被害者」となる前提で対処法をお伝えしてきました。ここからは、皆さんが「加害者」にならないよう、警鐘を鳴らしておきます。

 冒頭でも触れたように、2020年6月の法改正によって、あおり運転に手を染めたドライバーには厳しい罰則が科されることとなりました。

 他のクルマの通行を妨害する目的で「急ブレーキ禁止違反」「車間距離不保持」「警音器使用制限違反(不必要なクラクション)」「減光等義務違反(不必要なハイビーム)」などを行うと、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。違反点数は、酒気帯び運転と同様の25点。免許取り消し処分となり、運転免許の再取得ができない「欠格期間」は2年となります。

 さらに、高速道路上でほかのクルマを停止させるなど、著しい交通の危険を生じさせた場合は、5年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。違反点数は、酒酔い運転と同じ35点。免許取り消し処分となり、欠格期間は3年に及びます。 

 いっときの怒りに任せてあおり運転を行った結果、失うものは大きいといえます。そうならないよう、運転スキルが未熟なクルマに出くわしてもぐっと我慢しましょう。世の中からあおり運転を完全になくすためには、道路を通行するすべての人が他者への配慮を忘れず、お互いに譲り合う(許し合う)気持ちを持って行動することが重要です。