デキる上司は知っている!
部下の心を開く「3ステップ」

 では、部下が本音を打ち明けやすい環境を作るには、どうすればいいのでしょうか。

 まずは、上司自身が「支持的な姿勢」を示すことが不可欠です。部下の話を単なる指示や評価の材料として捉えるのではなく、本人の状況や感情に寄り添い、支援する気持ちを表現する必要があります。以下のポイントを意識しましょう。

1.言葉だけでなく表情や声にも注意を払う

 部下の普段の様子と比べて、元気がない、声が小さいなどの変化に気づくことが大切です。日常の観察から、メンタルヘルスの不調や隠れた悩みの兆候を感じ取ることが、早期の支援につながります。

2.状況と目標を共有し、一緒に考える姿勢を示す

 業務の進捗状況や今後の目標設定について部下と確認し、必要な支援を一緒に検討することで、部下は自分が尊重され、信頼されていると感じるでしょう。上司が「協力するのが自分の役割だ」と伝えることが、部下の安心感を高めます。

3.上司自身が自己開示する

 完璧な姿勢を保ち続けるのではなく、上司も自らの弱みや悩みを共有することで、部下は「完璧でなければならない」というプレッシャーから解放され、素直に自分の本音を話せるようになります。率直なコミュニケーションは、職場全体の風通しを良くする効果があります。

 このように、上司が部下の話に対してまず「聴く」姿勢を見せ、柔軟かつ前向きに対応することが、信頼関係の構築に直結します。部下がたとえ「困ったことはない」と口にしたとしても、その背後にある本音や悩みに気づき、支援する姿勢こそが、より良い組織風土の形成に欠かせないのです。

 部下との対話において、上司の発言や態度は非常に大きな意味を持ちます。

「困ったことは何もない」と言われた時に、安易に安心するのではなく、部下の内面に潜む悩みや不安に気づき、真摯に向き合うことができるかどうか。

 職場のコミュニケーションは、上司の姿勢から始まります。今一度、日頃の発言や態度を振り返り、部下との対話においてどのようなサポートができるか、改めて考えてみてはいかがでしょうか。