話題をすぐ変える

例:「困ったことはないです」→「よかった。では明日の会議の件だけど……」
⇒部下は自身の状況を気にかけてもらえていないと感じ、安心感が失われます。

過去のミスに言及する

例:「困ったことはないです」→「そんなことはないだろう。あの時の君の進め方は…」
⇒部下の現状に対して否定的な印象を持っていることが表れており、今後も批判される不安が生じます。

感謝を押し付ける

例:「困ったことはないです」→「そりゃそうだろう。周囲の支援に感謝するように」
⇒部下は、指示的な態度とともに自分の評価に対する関心の低さを感じ、心の距離が広がります。

 こうした対応は、部下の本音を隠す原因となり、将来的な相談不足やメンタルヘルスの悪化につながる恐れがあります。部下が本当は悩みを抱えている場合、上司の一言でその扉が閉ざされる可能性があるのです。

悪気がなくても部下との間に深い溝を作る
絶対言ってはいけないNGワード

 上司が日常的に発する何気ない言葉の中にも、部下の心を閉ざすNGワードが潜んでいます。例えば、次のような表現は、上司自身に悪意がなくても、部下にとっては否定的に響くことが多いです。

NG表現筆者作成
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面倒感×またか系の発言

「え、それ前も言ったよね?」
「また、その話?」
⇒部下の話を軽視している印象を与え、今後の相談意欲を低下させる要因となります。

面倒感×興味ない系の発言

「私は知らんよ、○○さんに聞いてくれ」
「こういう問題、私はあまり興味ないんだよね」
⇒上司が関心を示さないと、部下は自分が信頼されていないと感じ、小さな悩みを話しにくくなります。

軽視感×バカにする系の発言

「君、ちょっとズレてるよ」
「こんなことで悩んでも仕方ないでしょ」
⇒こうした言葉は、内容への指導ではなく、部下の考え方や人格への否定につながります。ハラスメントの原型です。

軽視感×信じてくれない系の発言

「それは君の意見だよね」
「前も間違ってたよね」
⇒部下の自己肯定感を傷つけ、職場全体の信頼関係に悪影響を及ぼします。

 また、発言内容だけでなく、態度にも注意が必要です。先述のパーソル総合研究所の調査によると、部下の信頼獲得には「最後まで話を聞いてくれる」「親身になって話を聴いてくれる」といった態度が、非常に重要であると示されています。

パーソル調査パーソル総合研究所「職場での対話に関する定量調査」(2016年)
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