
実は日本の上場企業には「年収1億円以上」のビジネスパーソンが1109人もいる。果たして、どんな顔触れなのだろうか?報酬が、諸外国に比べて低過ぎるという指摘もあるだけに、年収が高いこと自体は批判されるべきではないだろう。ただ、業績や株式市場からの評価が振るわないにもかかわらず、1億円ももらっているのであれば、従業員や株主は心穏やかではいられないかもしれない。そこで、ダイヤモンド編集部では上場企業3935社を対象に、年収1億円以上の経営陣を調査、業界ごとに実名でのランキングを作成した。特集『1億円以上稼ぐ取締役1109人の実名!上場3935社「年収1億円以上幹部」ランキング』(全24回)の#16では、ガラス土石業界の報酬ランキングを掲載する。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
ガラス土石業界は年収1億円以上が13人!
AGCと日本板硝子の格差の陰に18年前の失敗?
板ガラスを手掛ける日本のメーカーは、AGC、日本板硝子、セントラル硝子の3社がある。そして、『【ガラス・土石製品9社】倒産危険度ランキング最新版!3位石塚硝子、1位は?9社すべてが“危険水域” 』で紹介したように、板ガラスは供給過剰に陥りやすく、安定的にもうけるのが難しい。
“脱ガラス”の動きが続く中、最も厳しい状況にあるのが日本板硝子で、それは業績のみならず幹部の年収にもくっきりと表れていた。
ダイヤモンド編集部では、経営トップの会長、社長のみならず役員を対象に、年収1億円以上の高額な報酬を受け取っている人物を業界別に集計した。1社から複数人が記載される場合もある。また、本特集では高収入を単純に批判する狙いはない。ランキングには、年収額と併せて、PBR(株価純資産倍率)、ROE(自己資本利益率)、時価総額も掲載しているので、それらに「見合う年収」を得ているかの参考にしてほしい。今回はガラス土石業界を対象とした。板ガラスを手掛ける企業だけではなく、TOTOなども含まれる。
集計の結果、ガラス土石業界で「年収1億円以上」は13人いることが判明した。全業界の平均が33.6人だから、かなり少ない。ガラス土石業界の上場企業数が少ないことが理由でもあるが、後述するように金額面でも同業界の幹部の待遇は高くない。
そして、AGCと日本板硝子ではランクインした幹部の数で大きな差がついたのだ。それもそのはずで、両社の稼ぐ力には大きな格差がある。本業のもうけを示す営業利益を見ると、AGCの1287億円(2023年12月期)に対し、日本板硝子は359億円(24年3月期)となっている。
日本板硝子の業績低迷の背景だが、実は18年前の大きな経営判断の失敗が尾を引いている。その詳細については、『日本板硝子が極秘検討「自動車用ガラス撤退案」を断念した理由、セントラル硝子との違いは?』をチェックしてほしい。
AGC、日本特殊陶業、TOTO、日本ガイシ、日本板硝子、東海カーボンといった企業の幹部たちは、幾らもらっているのだろうか。全業界の上場企業の平均と比較して水準はどの程度だろうか。次ページで実名と共に一挙に見ていこう。