
実は日本の上場企業には「年収1億円以上」のビジネスパーソンが1109人もいる。果たして、どんな顔触れなのだろうか?報酬が、諸外国に比べて低過ぎるという指摘もあるだけに、年収が高いこと自体は批判されるべきではないだろう。ただ、業績や株式市場からの評価が振るわないにもかかわらず、1億円ももらっているのであれば、従業員や株主は心穏やかではいられないかもしれない。そこで、ダイヤモンド編集部では上場企業3935社を対象に、年収1億円以上の経営陣を調査、業界ごとに実名でのランキングを作成した。特集『1億円以上稼ぐ取締役1109人の実名!上場3935社「年収1億円以上幹部」ランキング』(全24回)の#17では、石油元売り業界の報酬ランキングを掲載する。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
石油元売り業界は年収1億円以上が12人!
企業規模小さいコスモが上位で序列に異変
ガソリンスタンドが20年でほぼ半減するなど、大きな転換点にある石油元売り業界。ただし、近年はビジネス上の構造転換の話題よりもトップ人事の方が注目を集めた。
特に、最大手のENEOSホールディングス(HD)ではトップが2代連続でセクハラを理由に退任し大きな話題に。出光興産の人事や物言う株主に苦しめられたコスモエネルギーホールディングス(HD)など業界の状況は特集『石油ムラ 大異変』を参照してほしい。
なにかと注目を集める石油元売り業界の幹部だが、「年収1億円以上」は、どれほどいて、どんな顔触れなのだろうか?
ダイヤモンド編集部では、経営トップの会長、社長のみならず役員を対象に、年収1億円以上の高額な報酬を受け取っている人物を業界別に集計した。1社から複数人が記載される場合もある。また、本特集では高収入を単純に批判する狙いはない。ランキングには、年収額と併せて、PBR(株価純資産倍率)、ROE(自己資本利益率)、時価総額も掲載しているので、それらに「見合う年収」を得ているかの参考にしてほしい。今回は石油元売り業界を対象とした。
集計の結果、石油元売り業界で年収1億円以上の幹部は12人いることが判明した。全業界の平均が33.6人だから、かなり少ないが、上場企業数が少ないことが理由だ。
12人の全てをコスモエネルギーHD、出光興産、ENEOSHDの3社の幹部が占めているのだが、人数や金額では差が出る結果に。そして、3社では企業規模が最も小さいコスモエネルギーHDの幹部が上位に入るという序列の逆転現象も起きた。
3社の幹部たちは、幾らもらっているのだろうか。全業界の上場企業の平均と比較して水準は高いのだろうか。次ページで実名と共に一挙に見ていこう。