生命保険業界のガリバー、日本生命保険が40年ぶりに月払い商品の予定利率を引き上げ、保険料の値下げに踏み切った。生保会社の財務に影響が大きいだけに重い決断となるが、金利ある世界の到来を象徴する案件であり、他生保にも多大な影響を及ぼすことは必至だ。特集『総予測2025』の本稿では、その影響度合いを考察する。(ダイヤモンド編集部編集委員 藤田章夫)
日本生命が40年ぶりに
予定利率を引き上げ
生命保険業界のガリバーである日本生命保険が、1985年以来約40年ぶりに、月払いの年金保険や終身保険など貯蓄性商品の予定利率を2025年1月に引き上げ、保険料を下げることを決めた。金利のある世界が本格的に到来したことを象徴する案件として、生保業界内で話題となっている。
予定利率とは、生保会社が契約者に約束する運用利回りのこと。生保は契約者から受け取った保険料をどの程度の利回りで運用できるか予測し、その利回りで割り引いて保険料を決定する。
つまり、予定利率が上がれば、保険料は下がることになるわけだ。
これまでの低金利環境下では、予定利率を引き下げて保険料を値上げし、契約者の負担が増すばかりだった。だが、日本銀行によるマイナス金利の解除などにより、いよいよ保険料を引き下げるフェーズに突入した。まさに、生保業界はターニングポイントを迎えたといえる。
では、どれくらい保険料が下がるのか。また、日生が保険料の値下げに踏み切ったことで、業界への影響はいかほどなのか。
生保業界のガリバー、日生がついに保険料の引き下げに踏み切った。25年1月2日から予定利率を引き上げたことで、保険料はどの程度下がるのか。次ページでは、複数の事例を基に保険料の下げ幅を示すと共に、他生保に与える影響について考察する。