保険ラボ

264人もの申告人に膨れ上がった
手数料ポイント制度の公取への申告

 264人の申告人――。7月21日、恐らく史上最大規模となる申告人を抱えた案件が、公正取引委員会に申告された。その案件とは、損害保険業界において長らく損保代理店を苦しめてきた「手数料ポイント制度」についてだ。独占禁止法における、優越的地位の濫用に当たるとして、公取に対し是正を求める申告を行うこととなった。

 是正を求めた相手は、東京海上日動火災保険と損害保険ジャパンの2社。単体ベースで損保業界の市場シェア1位と2位の損保であり、委託する代理店数も多いことから被申告者として選定された。この2社以外の損保会社も同様の手数料ポイント制度を導入しており、あくまで業界を代表してこの2社が選ばれたかたちだ。

手数料ポイント,損保7月21日に大阪市内で行われた記者会見の様子 Photo by Akio Fujita

 この手数料ポイント制度については、かねて何度も報じてきた通り、代理店からの不満が大きい。

 かつて損保会社から損保代理店に支払われる手数料は、一定の基準を満たしていれば一律だった。保険料10万円の自動車保険を販売すれば、代理店に支払われる手数料は約2万円となり、損保の手数料はおおむね20%というのが相場だった。だが、そこに手数料ポイントが掛け合わされることになり、損保代理店に支払われる手数料は大きく変動することになった。

 手数料ポイントの幅は20〜120と実に大きい。同じ自動車保険を販売しても、先の例で言えば代理店が受け取る手数料は、4000〜2万4000円というふうに大きく変動する仕組みだ。しかも、手数料ポイントを決める基準は収入保険料の多寡と増収率の割合が大きいため、比較的規模の小さい専業の損保代理店にとっては死活問題となっている。

 加えて、手数料ポイント制度は損保会社から一方的に通知される点も問題視されている。今回の公取への申告においても、代理人の喜田崇之弁護士は「他に問題点は複数あるが、この2点に絞って申告した」としている。

 では、今回の申告の中身について、6月30日に大阪市中央区で開催された、大阪損保革新懇の会合の中身と併せて詳述していこう。