自動車関税や半導体装置禁輸で日本のGDP「0.5%減」、トランプ政策が輸出力低下に追い打ちPhoto:Carl Court/gettyimages

トランプ政策、日本の輸出“直撃”
最大のリスクは自動車関税

 米大統領に就任したトランプ氏は、大方予想されていた通り、「タリフマン(Tariff-man)」として各国とのディール外交にいそしんでいる。

 就任直後にメキシコ・カナダへの25%関税や中国に対する10%の追加関税実施の意向を表明。

 1月26日には、コロンビアが移民を強制送還していた米軍機の着陸を拒否したことを受け、同国からの輸入品に25%の関税をかけるとしたが、その後、コロンビアが移民受け入れに同意すると、関税引き上げを撤回。メキシコ・カナダへの関税も、両国が不法移民や合成麻薬の米国への流入で改善措置を取ることを表明すると、3月4日までの「1カ月発動停止」を決めた。

 2月27日には、自身のSNSの投稿で、メキシコ・カナダへの25%関税を3月4日から実施するとともに、中国へはさらに10%上乗せし、追加関税を20%にすると表明した。

 米国対相手国という2カ国間のディールにとどまらず、全ての貿易相手国に対して包括的な関税(相互関税)政策を今後、展開する可能性も高い。また個別品目では3月12日には、鉄鋼・アルミニウム製品に25%の追加関税がかけられる見通しで、自動車にも25%、さらに医薬品、半導体にも高関税を導入するとの報道も出ている。

 こうした米国第一主義を徹底したトランプ政策は、日本経済に大きな影響を与える可能性がある。

 とりわけ日本の主力産業は、このところ中国企業に輸出シェアを奪われ競争力に陰りが出ている。関税引き上げだけでなく、米国から半導体製造装置の対中禁輸などの同調を求められる可能性もあり、これらのトランプリスクが現実になれば、日本経済の回復シナリオは頓挫しかねない。