
停滞が続くユーロ圏経済
目立つ製造業の不振
ユーロ圏の経済の停滞が続いている。経済成長率はコロナ禍後の22年に3.6%を記録したが、その後の23年は0.5%、24年は0.7%と伸び悩みが続いている。その大きな理由は、高インフレとアグレッシブな利上げだ。ウクライナ戦争によるダメージは、エネルギー価格の上昇を中心に大きかった。
欧州中央銀行(ECB)はインフレの落着きに伴いようやく利下げに転じた。個人消費を中心に緩やかな回復が進むとみられていたが、景気回復の足取りは重い。今年も0.9%の成長に止まる見込みで、下振れリスクも高まっている。
今回のユーロ圏経済の弱さの特徴は、製造業に強みを持つドイツなど中核国の調子が悪いことだ。かつてはユーロ危機の震源地となっていたギリシャやスペイン、ポルトガルなど周縁国は比較的調子がいい。
今後のユーロ圏製造業の先行きも必ずしも明るくなく、ユーロ圏中核国の不振も長引きそうだ。トランプ関税と中国製造業の追い上げという二つの試練が待ち構えているためだ。