「安定性」だけでは無理
公務員が直面する課題
業界別の分析で特徴的だったのは、中央省庁や地方公共団体を含む「公務員」の入社理由である。「安定性」を理由に入職した割合は27.5%に達し、クチコミでも安定を求めて公務員の道を選んだという声が多く見られた。
「国を支える仕事であり、誇りとやりがいを持てると思ったから。また、公務員ならではの安定性等にも魅力を感じたから」(官公庁)
「公務員のため、安定性があることや退職金があること、人に言える職業であることが決め手です。また、大学や出身が神奈川であったため、ゆかりのある土地で実家から通いたいと思い、受かったため決めました」(地方公共団体)
一方、退職理由は全体の結果と同様に、「キャリア・個人成長」が3割を占めた。クチコミからは、旧態依然とした組織風土や、専門性を身につけにくいキャリアパスへの不満が多く寄せられていた。
「経験したい、やりたい業務に希望通りつける保証がなく、仮に配属になったとして2,3年という短期間で部署異動になる。退職までトータルで自分の興味ある業務につく期間は短いと考えたため」(官公庁)
「国会対応や照会案件等の他律的業務が多く、自らの担当業務を進める時間が取れないことが多くあった。特に若手は部署の取りまとめ関係の担当になることが多く、その場合はほとんどが他律的業務となり、(調整能力はある程度身につくと感じられるものの)20代が身につけたいスキルを得られる環境には無かったと感じる。また、当然に不毛な残業も多かった」(官公庁)
この結果から、人手不足が深刻化している公務員業界において、安定性だけでは若手人材の定着を図れないという課題が浮き彫りになった。若手職員の成長機会を提供し、組織風土を見直す必要性があることがわかる。