「政治家のおかげで教育無償化」は大ウソ
「初年度にやっと300万円の利益が出たんです。当時、経理も知りませんでしたから、保証してくださった方に迷惑をかけてはいけないので、3年間で借金は返せると思ったんです」
「ところが、なんと税金が百何十万円かかり、配当もすると、100万円ぐらいしか残らない。借金を返すのに10年かかるわけです。びっくり仰天して、みんなに相談すると、そのために脱税するんだというんです(笑)」
税負担の重さに驚きながらも、稲盛氏は一貫して「きちんと税金を払え」と言い続けた。経営者としての責任を果たし、社会に対する貢献を重視したからにほかならない。
私も税理士に依頼し、正直に確定申告をしている。経費計上は最小限にとどめ、節税の抜け道を探すようなこともしていない。だからこそ、何の根拠も合理性もない政策に私たちの税金が使われていることに、腹が立って仕方がない。
「維新のおかげで教育費が無償化されました」と言うが、それは正しくない。「私たちの税金のおかげ教育費が無償化されました」である。にもかかわらず、政治家たちはまるで自分の財布から出したかのように言い放つ。この国の政治家は、なぜ納税者の負担を自分の手柄のように語るのか。本当に不思議でならない。
ある税理士から、興味深いデータがあると教えてもらったことがある。それは「脱税と経済成長」に関する研究だ。具体的には、ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘンが2004年に発表した『脱税と経済成長――中立性の結果』(Tax Evasion and Economic Growth – A Neutrality Result)である。
研究は、脱税が経済成長に与える影響を分析したものである。一般に、脱税は政府の財政を悪化させる負の側面が強調されがちだ。しかし、論文では、特定の条件下で脱税が経済成長に対してポジティブな影響を持つ可能性が示されている。
研究では、OECD加盟21カ国のデータを用いて分析を行い、次のような結論を導き出した。