文春での証言によれば、被害女性は同局の編成幹部から食事会に誘われたものの、当日彼を含む参加者全員がドタキャン、中居氏と密室で2人きりになった際に性的トラブルが起こったといいます。これは彼女が、業務の一環としてその場に訪れたと判断すべきです。
しかし文春によると、彼女は後日、「被害」を局の幹部に相談したものの、彼らは何も行動を起こしませんでした。それまでに他の関係者(複数の報道では、かなり特定されています)も幾度か中居氏との飲み会などをセットされ、出席していたとされることを考えれば、局側が中居氏の行動を知らなかったはずはありません。
また、女性から相談があった時点で、フジテレビはまず中居氏に対して事情聴取すべきだったのに、それもしませんでした。
事件が起こったのは2023年6月。その後、『まつもtoなかい』など、フジテレビの主要出演者である松本人志氏の不同意性交があれほど報道され、番組で是非が論じられていたにもかかわらず、今回の「被害」の調査もせず、ずっと中居氏を番組に出演させていたのは、無責任としか言いようがありません。
たとえば、私が所属していた文藝春秋で、売れっ子作家が女性編集者を密室に招き、二人きりになってこのようなトラブルを起こしたら、社はその作家と絶縁するか、社員に対する大きな賠償責任を求めるでしょう。文春に限らず、普通の会社なら関係者が業務上で受けた被害について、彼らを守る行動をとるのが当然です。
その上、被害女性はショックにより、精神疾患の症状が出て入院を余儀なくされたといいます。これは一般的に考えて、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症した可能性が高いと思います。心の病が業務上の理由で発生した場合、会社はその責任の相当部分を背負うことが労働法で定められています。遅刻や休業が多くなっても、それを理由に解雇することは法律で禁止されているのです。しかし、彼女が退社を決断する経緯や、それに対する会社の対応について、フジテレビは発表していません。