
急成長する日本のプライベートエクイティ(PE)ファンド業界。業界規模の拡大に伴い、投資銀行やコンサルティングファーム、商社からの転職希望者も増加中だ。特に外資系PEファンドは破格の待遇で知られ、入社難易度が極めて高いエリート集団だ。特集『プライベートエクイティ 金融最強エリートの正体』の#2では、外資系PEファンド勤務者の学歴・職歴を徹底分析し、転職成功者の“王道パターン”を解明。彼らはどこの大学を卒業し、どこの企業を経て業界入りしたのか。転職のタイムリミットとともに詳しく紹介する。(ダイヤモンド編集部 田中唯翔)
大手外資系PEファンド6社の社員を調査
業界転職の“王道パターン”とは?
株式市場でプライベートエクイティ(PE)ファンドの存在感が増している。ベイン・アンド・カンパニーの調査によれば、日本市場におけるPEファンド業界の案件総額は、2023年には19年の1兆円から5.9兆円へと増加し、各ファンドはここ数年で規模を拡大している。業界の成長に合わせて起きているのが、採用人数の拡大だ。
「約10年前に年間40人程度だったPEファンド業界の中途採用数は、現在は100人前後になっている。今後も増え続けるだろう」。人材コンサルティング会社のキャリアインキュベーションの佐竹勇紀社長はそう語る。PEファンドへの転職者が多いコンサルティングファームや外資系投資銀行で経験を積んだ人材だけでなく、採用人数の拡大によって、近年では総合商社やM&Aアドバイザリー会社からの転職者も増えているという。
PEファンドへの転職市場で最も狭き門が、投資規模が1000億円を超え、ラージキャップと呼ばれる外資系PEファンドだ。6000億円規模の富士ソフトの買収合戦を繰り広げたKKRやベインキャピタルなどが、その代表例である。
外資系PEファンドは、投資規模もさることながら、PEファンド業界の中でも破格の待遇で知られており、それ故に腕に自信のあるエリートが集まる。
外資系PEファンドは日本国内で新卒採用を実施していないため、転職という形で入社する必要がある。そんな業界で働く彼らは、どのようなキャリアを歩み、外資系PEファンドへの転職に成功したのか。
外資系PEファンド6社(ブラックストーン、KKR、カーライル、ベインキャピタル、EQT、CVCキャピタル・パートナーズ)のホームページ上に掲載されている、日本法人でPE事業に従事する83人を対象に、彼らの職歴、学歴を分析したところ、転職成功者に共通する“王道パターン”が判明した。外資系PEファンド勤務者に最も多かった出身大学・学部、そして前職の企業名をランキング形式で紹介する。
一体どこの大学・学部を卒業し、どこの企業に勤務していれば、今後、外資系PEファンドへの転職切符をつかむことができるのか。そして、外資ファンドへの平均転職年数の調査によって、転職にはタイムリミットがあることも判明した。
気になる外資系PEファンドへのキャリアパスについて、次ページで公開する。