市販のサプリメントや育毛剤
使って大丈夫!?

 原因がわかったところで、気になるのが予防法や対策です。

「血管障害の予防に関しては、喫煙、運動、食生活などの生活習慣が深く関わってきますので、患者様ご自身でも心がけられるものがあります。特にこれらは、薄毛だけではなく他の病気の予防や治療にも有効です。生活習慣の見直しは大変かもしれませんが、どれか一つでもぜひ取り組んでみてください」

 ホルモンに関しては、遺伝子に基づく体質による部分が大きいので、自己治療は難しいそう。市販のサプリメントを飲んだり、育毛剤でケアしているという人は要注意。長谷川先生は「医学的に効果が立証されている医薬品を用いた医療機関での治療がカギ」と断言します。

「すでに薄毛になっていると感じている場合は、早めに医療機関を受診するのがよいでしょう。治療に使える薬剤としては、フィナステリド製剤、デュタステリド製剤、ミノキシジル製剤などが有名ですが、その他にもさまざまな医薬品が用いられることがあります」

 フィナステリド製剤、デュタステリド製剤は、AGAに用いられる代表的な薬剤。「5α-リダクターゼ」という人間の体内にある酵素を阻害することで、原因となる男性ホルモン(ジヒドロテストステロン)の発生を抑止する作用があります。ただし、安全に使用できるかどうかは必ず医師による判断が必要です。

「フィナステリド製剤やデュタステリド製剤は薄毛の根本にアプローチでき、効果的な治療が期待できます。日本でも成人男性に対しての使用が認められています。一方で、5α-リダクターゼやジヒドロテステロンは、未成年の男性や妊娠中の女性の体内で重要な役割を担っている可能性が指摘されています」