絶頂か崩壊か 半導体AIバブル#10Photo by Msasato Kato

最先端半導体の量産を目指すラピダスが試作ラインの稼働に入った。プロジェクトを後押ししてきたのが自民党半導体戦略推進議員連盟だ。昨年11月に甘利明・前衆議院議員に代わって会長に就任した山際大志郎衆議院議員は半導体・AI(人工知能)分野への「10兆円以上」の公的支援をどう活用すべきと考えるのか。特集『絶頂か崩壊か 半導体AIバブル』の#10では、ダイヤモンド編集部の独占インタビューに応じた山際氏に、政府の半導体支援の全体像と今後の見通しを聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 村井令二)

ラピダスのプロジェクトは新ステージ
資金支援は政府・民間で本格化へ

――最先端半導体の量産を目指すラピダスが、4月から試作ラインの稼働に入りました。甘利明・前衆議院議員を筆頭に自民党の半導体戦略推進議員連盟はラピダスのプロジェクトを後押ししてきましたが、現段階でどのように評価をしていますか。

 ラピダスが試作ラインを動かして、2ナノメートル(ナノは10億分の1)の半導体チップの性能を確かめつつ歩留まりを上げていくという非常に大事なステージに入りました。7月にも試作チップを出すという話ですが、今後、実際にモノを作り始めるといろいろな問題が出るはずです。一つ一つを乗り越えてビジネスになるところまで一日も早く持っていってもらいたいと思います。

 このプロジェクトは、最初の段階で国が支援しない限り進みません。最終的には民間だけでビジネスが回るようになるところに持っていかなければいけませんが、国が出した資金はビジネスが成功すれば戻ってくる。道半ばですが、それはできるという認識です。

――政府によるラピダスの研究開発支援は累計1.7兆円まで積み上がりましたが、今後の資金支援の方針は。

 これからラピダスは民間の出資を受ける場面に入りますが、同時に政府の出資、さらには銀行融資に政府保証を付けることも必要になってくる。支援の規模は、ラピダスが顧客をどれくらい確保するかによって違ってくるでしょう。

半導体・AI分野へ「2030年度までに10兆円以上の公的支援」を行う方針の中で、山際氏はラピダスをはじめとする半導体支援戦略の全体像をどう描いているのか。次ページで、ラピダス支援の行方や台湾積体電路製造(TSMC)への追加支援の見通しなど、余すところなく語ってもらった。