政府は2030年度までに半導体・AI(人工知能)の分野に10兆円以上の公的支援を行う方針を決定した。念頭にあるのは、最先端半導体の量産を目指すラピダスへの支援だ。試作と量産に計5兆円の資金が必要とされるが、政府の支援決定でプロジェクトはどのように進んでいくのか。民間からの出資は実現するのか――。特集『半導体の覇者』の#8では、ラピダスの小池淳義社長がダイヤモンド編集部の独占インタビューに応じた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 村井令二)
政府の「10兆円」支援
ラピダスに強力な追い風
――総選挙を経て、国の半導体支援にブレーキがかかるとの見方がありましたが、政府は2030年度までに半導体・AI(人工知能)分野に10兆円以上の公的支援の枠組みを決定しました。こうした大規模な支援の方針が決まったことの意義をどうお考えですか。
これまでも政治家や政府の方の後押しでラピダスは支援を受けてきましたが、そこに法的な裏付けがありませんでした。毎年毎年の予算の審査で次の年の支援が決まるというやり方で、世界の半導体支援の制度を見るとそういう国はありません。米国のCHIPS・科学法も5年間の枠組みですが、私は日本の支援も複数年で法的な裏付けを持つ安定的なものになってほしいと考えていたので、そのめどが立ったのは大きな意味があると思います。
――ラピダスのプロジェクトにとって、追い風になりますか。
もちろん。それは間違いない。
政府が半導体・AI分野に10兆円以上の公的支援の枠組みを決定し、ラピダスプロジェクトはこれまで以上に強力な政府のバックアップを受けて継続していくことになった。試作と量産で計5兆円を必要とするラピダスは、今後、どのように資金を調達していくのか。また、25年4月に計画する試作ラインの稼働に向けて、どんなハードルがあるのか。次ページで、小池社長が本音を語った。