そして、これが大切なのですが、上司は「やる気がそれほど出なかった」部下を期末まで放っておいたとすれば、その責任を負わなければなりません。さすがに期初から期末までの1年間放っておく上司はいないと思いますが、折に触れて部下のパフォーマンスをチェックし、やる気がそれほど出てないようなら、部下と面談をしてアドバイスやコーチングを行って、適切に対応することが必要です。それができていないとしたら上司の上司、組織が小さな中小企業なら経営者にも責任があります。

絶対に避けたい
「最悪な目標の立て方」とは?

 私はセミナーで経営者たちに伝えている、一番良くない目標の立て方は、「120の目標を示せば100くらいはやるだろう」というものです。これは最悪な目標の立て方です。

 最悪の理由の一つは、上司が部下を信じていないということ。本当は100の目標が適切なのだけれど、部下がサボることを見越して、サバを読んで120と言っておけばいいだろうということですから。

 もう一つは、上司が自分自身も信じてないということになるからです。

 目標が100なら、それは絶対に達成してもらう。そのためにはアドバイスもコーチもする。信用の「信」は、「人の言葉」と書きます。口にした言葉は上司自身も守るし、部下にも守らせる。自分を信じていないから、それらを放棄しているわけです。

 上司も部下も納得できる目標が立てられたら、それは少し背伸びしたものでももちろんかまいませんが、期中には上司が部下の行動に目を配り、適切なフォローをすることで確実に達成してもらうのです。

 それでも期末に目標を達成できなければ、原因を客観的に分析、明確にして、改善のためのアドバイスをし、次の期に生かすことが大切です。感情に任せて部下を強く叱責(しっせき)しても、来期の成績が良くなることはありません。