半導体業界、適用除外でも関税の影響から逃れられずPhoto:Bloomberg/gettyimages

 ドナルド・トランプ米大統領が半導体を相互関税の対象から除外したことは、歓迎すべき一時的な救済のように聞こえた。しかし、半導体を組み込んだ消費財は増加の一途のため、業界としてはほとんど安心できない状況にある。

 この「救済」も長続きしない可能性がある。トランプ氏は3日、大統領専用機「エアフォースワン」の機内で、半導体に対する措置が間もなく取られる可能性があると述べた。

 少なくとも現時点では、昨年約820億ドル(約12兆円)に上った米国の直接的な半導体輸入は相互関税適用の対象外となっている。

 しかし、半導体輸入の大半は間接的だ。半導体は通常、米国外で製造され、そこでパッケージングされ、世界中に出荷される電子機器に組み込まれる。米国に輸入される際には最大49%の関税が課される。米国製の半導体でさえ、多くは最終組み立てのために台湾や中国、東南アジアに送られてから、最終顧客に再輸出される。

 こうした間接性があることから、関税が半導体業界にもたらす影響を正確に把握するのは難しい。確実なのは、打撃が大きいということだ。

 バーンスタイン・リサーチの分析によると、米国は昨年、機械を約5210億ドル、電子機器を約4780億ドル、自動車を約3860億ドル輸入した。これらの製品には大量の半導体が使用されることが多く、価格上昇を受けて消費者が購入を控えれば半導体の売り上げは落ち込む。最終的に半導体メーカーの収益と成長率の低下につながり、利益や株価を圧迫する可能性がある。

 バーンスタインのアナリスト、ステイシー・ラスゴン氏は「全体として、半導体グループ(あるいは率直に言ってどの分野でも)にポジティブな感情はあまり見られない」とメモで指摘した。