「人の悲しみにつけ込んで、足元見よって」
釜次の怒りに視聴者も大納得

 昭和2年秋、のぶ(永瀬ゆずな)の父・結太郎(加瀬亮)が急逝した。しょんぼりしているところにヤムおじさんこと屋村(阿部サダヲ)があんぱんを差し入れしてくれて、朝田家の人々は笑顔になった。ところが、数日後、釜次(吉田鋼太郎)が結太郎の墓石を掘りあげて、墓参り(墓にあの帽子を乗せるのが泣ける)。

 そこで、RADWIMPSの『賜物』が流れる。この歌がたたみかけるのは、人生がいかに理不尽でしんどいかというもので、いま、のぶはこの状況にある。

 結太郎の死は容易に癒えるものではない。屋村が朝田家にやってきて、あんぱん代を請求する。先週の金曜日、みんなであんぱんを食べたあのあたたかい笑顔はなんだったのか。「人の悲しみにつけ込んで、足元見よって」「あこぎな商売」と釜次は激怒。いや、ほんと。

 見ているほうも、おじさんがやってきた時点でまさか、と多少いやな予感はしたけれど、ほんとに代金を取り立てるのはいささかショックだった。

「正義は逆転する。じゃあ、決して引っくり返らない正義ってなんだろう。 おなかをすかせて困っている人がいたら、一切れのパンを届けてあげることだ」がこのドラマのテーマだと思うけれど、あんぱんを届けたけれど、お代をもらうヤムおじさんは、アンパンマンの域にはまだ達していないようである。アンパンマンではなくジャムおじさんだしね。

 くら(浅田美代子)がへそくりで支払って、とりあえずことなきを得た。でも釜次はくらがへそくりをしていたことにも激しく反応する。へそくり、へそくりと大騒ぎする吉田鋼太郎がしんっと沈んだ空気をぐっと上げた。

 嵩(木村優来)がヤムおじさんは悪い人ではない、旅費が必要なのだとかばうが、おじさんはそれを言うなと止める。自分の事情を隠すおじさんも強情っぱりである。