生きていくため
動き出した朝田家
お金の問題に反応したのか、突然、羽多子(江口のりこ)が思い立ち、まんじゅうの箱づくりの内職をはじめた。結太郎という働き手がいなくなったから、家計を自分が守らなくてはいけないと決意したのだ。
それに、結太郎が女性も大志を抱くべきと言ったからと、娘たちの大志のために学費を貯めようと考えたのだ。お父さん、商社勤務のエリートっぽかったから、相当の遺産を残しているのではないかと生々しいことを筆者は考えてしまったが、そんなものには頼らず、すぐ働き始める羽多子はよくできた人である。
沈んでばかりもいられない。くらもこうしていると気が紛れると内職を手伝う。
残された家族で健気に内職。ここで、第1週ではやや影が薄かったのぶの妹たち、蘭子(吉川さくら)とメイコ(永谷咲笑)にスポットが当たりはじめる。蘭子が箱づくりで手先の器用さを発揮する。のぶはこういう細かい作業が得意じゃないらしい。
一方、メイコは幼すぎて内職の足手まといになってしまうので、外で遊ばせているとそれが大変な事態を呼ぶことに……。
釜次の仕事は石材業。墓石をひとつひとつ心を込めて作る主義で、これまでは仕事を絞っていたが、結太郎の分を波多子に働かせてはならないと釜次も仕事を増やしはじめた。またそれは彼なりの悲しみの乗り越え方でもあるのだろう。
ここがなかなか現実的で、あんぱんを食べただけでは一瞬、笑顔を取り戻せても、それで解決にはならないことを暗に物語っている。悲しみや不幸を払拭し生きていくには、絶え間なく動き続けないといけない。朝田家の人々は働くことで、悲しみを癒やしていくのだろう。