
メガバンクに地方銀行、第二地方銀行、信用金庫に信用組合――。全国の金融機関が直近の2年間で、どれだけメインの融資先企業を倒産させてきたのか。ダイヤモンド編集部が独自に調査し、2025年最新版として取りまとめた結果を実名で公開。特集『融資先企業を「倒産」させた金融機関ランキング2025』の#20では、長野県の金融機関を取り上げる。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
長野県で融資先企業を最も倒産させてきた銀行は?
八十二銀行、長野銀行が倒産させた企業は何社?
長野県を本拠に貸出金残高6兆円超を誇る地方銀行大手、八十二銀行。2025年3月期決算は純利益が前期比29%増の479億円と2期連続で最高益を更新した。日本銀行の利上げで貸出金利息が膨らみ、政策保有株の売却益も厚く上積みされた格好だ。
好調な決算を追い風に、八十二銀行は3月下旬、静岡銀行・山梨中央銀行と包括業務提携「富士山・アルプス アライアンス」を立ち上げた。5年間で追加収益200億円を掲げ、金融庁が再編交付金制度の延長を検討する中、同連携の旗振り役を務める展開になるかもしれない。
アライアンスで八十二銀行に寄せられる期待は二つある。第一は、長野銀行との合併プロセス(23年完全子会社化→26年1月合併予定)で培った統合ノウハウの“越境流用”。第二は、移住ローンの共同開発や県境をまたぐM&A支援といった人口減対策である。
とはいえ広域連携が進めば、既存の資金フローやメインバンク構造が揺らぐリスクも無視できない。最高益を計上する八十二銀行でさえ、システム移行費や合併コストは重荷として残る。
企業を育て地域を支えるのも銀行、危機に陥った際に命運を握るのも銀行である。特にメインバンクが「踏みとどまるか、引くか」は、倒産か再生かの分水嶺となる。
メインバンクとは通常、貸出金のシェアが首位で、当該企業と長年にわたって親密な関係にある銀行のことを指す。ただ、企業側と銀行側で認識が異なっているケースもある。
24年度の全国の企業倒産件数は、11年ぶりに1万件を超えた。今後も倒産件数の増加と金融機関の融資姿勢が、厳しくなるのは必至とみられているが、どの銀行が今後、企業に厳しく臨むのか――。それを知るには過去に注目するとよい。その銀行の将来の行動を最もよく表しているのは、口先のきれい事ではなく過去の行動なのだから。
メガバンクに地方銀行、第二地銀、信用金庫に信用組合――。全国の金融機関が直近の2年間で、どれだけメインの融資先企業を倒産させてきたのか。ダイヤモンド編集部が独自に調査し、25年最新版として取りまとめた「融資先企業を『倒産』させた金融機関ランキング」を実名で公開する。
今回は、長野県の金融機関を取り上げる。八十二銀行や長野銀行のほか、長野信用金庫や長野県信用組合なども名を連ねた。
ちなみに「金融機関が倒産させた企業数の多い都道府県ランキング」は、下表の通りだ。地銀や信金、信組など主な金融業態の内訳も明記したので、ご覧いただきたい。
ランキングは、50本以上の記事として配信していく。全都道府県と全金融業態を網羅した完全版を含めて、さまざまな視点でお届けする予定だ。それでは早速、今回の長野県の結果を確認していこう。