それでも買う!狂乱の市場に克つ! マンション 最強の売買&管理術 #17Photo by Yoko Suzuki

湾岸タワマン、郊外内陸タワマン、外部管理者方式マンションと三つの種類が異なるマンションを渡り歩き、その二つで管理組合理事として活動してきたがすたま氏。さまざまな形態のマンション管理を見てきたがすたま氏の実経験から「マンション管理のヤバさ」を寄稿で赤裸々に明かす。特集『それでも買う!狂乱の市場に克つ! マンション 最強の売買&管理術』(全33回)の#17ではその上編、湾岸タワマン編をお届けしよう。(がすたま)

複数のマンションを渡り歩いた元理事長
「人類に区分所有は早かった」と戸建て転生へ

 はじめまして、がすたまと申します。

 3カ所の異なる属性のマンションで理事長・副理事長等の要職を経験したり、時には理事会制度に疲れて外部管理者方式のマンションに住み替えたりした揚げ句に、今は注文住宅の契約をしちゃった状態です。

 良くも悪くも複数のマンションで理事長として意思決定に携わってきた経験から学んだのは「人類に区分所有は早い」ということ。それはなぜなのか、どうして一戸建て転生を選んだのかを書かせていただきます。初回は、湾岸タワマンについてです。

「タワマンのオーナーは管理組合運営に無関心層が多いので合意形成が難しく、管理会社などの業者にいいようにやられる」とか「タワマンは修繕積立金が不足し、将来は廃墟になる」とか、タワマンと管理組合運営を絡めると、どうしてもサゲるニュアンスでの話になりがちです。中の人としては「うーん、おおむね正解だけどちょっと湾岸タワマンを特別視し過ぎ」という感想を抱きます。

 確かにタワマンのオーナーの多くは管理組合や理事会は遠い存在だと感じており、板状マンションと比較すると無関心層の割合は多いのではないかと思います。例えば、資産性の高さから投資・賃貸目的で所有しているオーナーが一定数存在していたり、コンビニやジムなどの利便性の高さを買うくらいタイムパフォーマンスを意識されている方が多かったり、区分所有や理事会制度の慣習がないご出身の方がお住まいだったり、世帯数が多いので輪番・抽選でなかなか役員になる機会がなかったり……などなど、タワマンはオーナーが主体的に管理するイメージを持ちにくい要因が板状マンションと比較して多いのも事実です。

 とはいえ、合意形成が難しいという点はどうでしょうか。確かに総会や説明会などに直接参加される方は少ないかもしれませんが、多くの場合は議決権行使書・委任状を通じた意思表示を行っていることから、手続き的には合意形成は図られているといっても差し支えないでしょう。また、詳細は後述しますが、タワマンのオーナーは第一線で活躍されている方も多く、業者の都合が良い説明だけでどうにかできるほどタワマンの管理は甘い世界ではありません。

 では、具体的にタワマン管理は何がヤバいのか?修繕積立金が不足するなどといわれているが、その実態は?次ページから私が理事長として経験してきたことをより詳しく、データと共にお伝えしていきたいと思います。