それでも買う!狂乱の市場に克つ! マンション 最強の売買&管理術#18Photo:PIXTA

マンションの管理は日々磨くもの、管理組合の努力で管理状態を大きく改善させたマンションも全国にあまたある。マンション管理業協会の「マンション管理適正評価制度」に登録された各マンションの評価点を2023年時点と最新時点で比較。改善度の大きい順にランキングを作成した。特集『それでも買う!狂乱の市場に克つ! マンション 最強の売買&管理術』(全33回)の#18は、その東京編。なんと築50年のマンションも上位にランクイン。「がんばる管理マンション」を探せ!(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)

管理適正評価点で最下位から首位に、ミラクル回復!
Jワザック両国の決め手は修繕積立金計画の適正化

 最初は地方予選敗退だった野球部が、次の夏には甲子園で見事優勝――。あたかもそんな映画のような大逆転をマンション管理で遂げたマンションが東京・両国にある。

 JR両国駅近くにある2016年竣工のマンションであるJワザック両国。本特集#7でも取り上げた、マンション管理業協会の「マンション管理適正評価制度」に22年に登録したところ、なんと当時登録していた97マンション中最下位となる、100点満点で42点という結果となってしまったのだ。評価制度への参加は管理組合総会で決議されており、取り下げられない。ならば、巻き返しを図ろうと管理状態の大改革が始まった。

 管理組合理事長の片岡忠朗さんがまず取り組んだのは、過去の総会での議事録の不備の改善だった。過去の理事会で、議事録に署名捺印がなく、第1回の総会で可決しなければならない長期修繕計画案も当時の管理会社から承認すべき議案として管理組合側に上げられていなかったことが分かった。新しい管理会社の協力の下、不備を改善した上で、長期修繕計画の見直しにも着手した。

 当初は1平方メートル当たり75円というかなり安い水準だった修繕積立金を、30年間値上げせずとも長期の修繕計画に充足できる均等積み立て方式にした。当初よりも4倍の値上げとなったが、電気代の削減や空き駐車場の外部貸し出し、議事録の電子化などで3年間で6500万円ほど収支改善したことを組合員にアピール。投資家オーナーが多いマンションにもかかわらず、無事値上げを可決することができた。評価制度で最も重視される財政問題はこれで解決できた。

 不備があった防災関連の設備や要件を整え、管理費・修繕積立金の滞納問題も解消した結果、1年後の23年には94点に、最新期には見事100点満点に上り詰めたのだ。国の管理計画認定制度も墨田区2軒目のマンションとして認定を取得できた。

 マンション管理は、一度素晴らしい計画を作ればそれで全てが解決するわけではない。管理組合の継続的な取り組みがあってこそ、高い水準を維持できる。その意味では、改善率が高いマンションこそ管理への意識が高いという言い方もできそうだ。

 ダイヤモンド編集部では、今回この「評価ポイントの改善率」に注目。前回特集の23年10月時点に取得した各マンションの評価ポイントと、25年3月中旬時点での最新の数値を比較、変化率を調べ、改善率が大きい順に100マンションをランキングした。題して「がんばる管理ランキング」だ。対象は最新数値が90~100点で「特に優れている」とされる五つ星評価、および70~89点で「優れている」とされる四つ星評価のマンションに限定している。また、同様の国の制度である「管理計画認定制度」(詳細は特集『マンション管理 天国と地獄』#4「マンション管理『評価格付け』4月開始で何が変わる?国交省&業界団体の両制度を最速解説」を参照)で認定を取得しているマンションは、ランキング末尾にマークを付けている。

 今回は東京編。改善率のトップ10のほとんどを築20年以上たつマンションが占める結果となった。評価制度はその設計上、築古物件ほど高得点を取得するのは困難なのだが、それでも2位になんと築50年のマンションが入っている。

 新築の供給が激減する中、築古を含む中古マンションが売買の選択肢に入る機会はますます増えている。次ページからのランキングを参考に、「がんばる管理」のマンションを見つけてもらいたい。