学歴社会で「勝負勘」を鍛える
――「受験による経験の差」が出るということですね。とはいえ、最近は幼い頃から名門中学に入り、とにかく先取り学習をするというトレンドも強いと思います。その場合は「自分で受験戦略を考える」というよりも単純に「レールに乗っていただけ」ということも言えるかと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
びーやま:たしかに超名門中学・高校に入っていれば、高校2年生のうちにはすべての範囲を終えているということも少なくありません。
おっしゃる通り、そこにいる生徒は「幼い頃からレールに乗っているだけ」という見方もできるのかもしれませんが、彼らは彼らで「競争社会がどんなものか」を本能で理解しているという強みがあります。これは社会でなによりも役に立つのではないでしょうか。
名門中学・高校に入る人は、10代の頃からかなりの数の真剣勝負をこなしてきています。そんな環境で育てば「他人に勝つためにはどうしたらいいのか」「自分は何で勝負できるのか」といった勝負に関する思考力が必ず身につきます。
ですので、そういった学校出身の人を「エリート育ちのボンボン」や「温室育ちのお嬢さん」と揶揄する人がいますが、僕は彼ら彼女らのほうが、かなりシビアに社会を見ていると感じます。幼い頃から「勝つこと」で自分の未来を切り開いてきたわけですから、甘いわけがありません。
こういった、数々の試験を経験したことによって得られる「勝負勘」は、仕事をするうえでこの上なく役立つと僕は思います。
――よく理解できました。では逆に仕事をするうえで「これは学歴だけでは身につけられない」というものはあるのでしょうか。
びーやま:ありきたりですが、「答えのない問題」への取り組み方かと思います。ほとんどの仕事には「これが答え」というものはありません。
なんとなく答えっぽいものやマニュアルはあったとしても、それは時代や状況によって変わっていきます。受験と仕事の決定的な差はこの点であり、どんなに頭のいい人でも多少は考え方をアップデートしなければいい仕事はできません。
そしてそのことに気づいて仕事ができるかどうかと学歴は関係がないように思います。もちろん、高学歴な人は適応力も高いですから、こういったことにも素早く気づく人が多そうでもありますが、簡単に学歴だけで解決できるものでもないでしょう。
いずれにしても、こういった学歴を超えた「余地」があるからこそ、仕事は楽しいものですし、学歴がある人もない人も活躍できる社会でいられるのでしょう。
少しむずかしい話をしてしまいましたが、今の受験生には受験を通して多くのことを学びつつ、社会でも活躍する人になってほしいなと思います。
――詳しくお話しいただきありがとうございました。
教育痛快バラエティ番組・YouTube『wakatte.TV』のツッコミ担当。早稲田大学教育学部卒。高校時代の偏差値は37だったが、1年間の浪人を経て早稲田大学に入学。大学時代は起業・自主退学・復学など、さまざまな経験をしたのち、大学受験のすばらしさに気づき現在に至る。甘いルックスと鋭いツッコミ(たまにポンコツ)で視聴者の心を掴んでいる。決め台詞は学歴モンスターの相方・高田ふーみんを制止する「ヤメロオマエ」。
高田ふーみん[協力]
教育痛快バラエティ番組・YouTube『wakatte.TV』にて「学歴至上主義」を貫く学歴モンスター。京都大学経済学部中退(現役合格)。学歴を絶対の価値基準とする偏った思想を持つヒール役として受験生や大学生を中心に人気を博している。決め台詞は「Fランやないか」。