1億円以上稼ぐ取締役1109人はもらい過ぎ!? 「年収1億円以上幹部」と従業員の年収格差ランキング#2

日本の経営者の報酬が低いと指摘されて久しい。それでも、実は日本の上場企業には「年収1億円以上」のビジネスパーソンが1109人もいる。成果に見合った報酬を受け取ることは当然といえよう。ただし、大事なのは納得感だ。業績や株価が振るわなければ株主は不満を持つだろうし、なにより従業員の士気が下がる。そこで、不動産業界の1億円以上もらう役員と従業員の年収格差ランキングを作成。特集『1億円以上稼ぐ取締役1109人はもらい過ぎ!?「年収1億円以上幹部」と従業員の年収格差ランキング』(全24回)の#2では、不動産業界の年収1億円以上の経営幹部と一般社員の年収格差の実態を調査、実名ランキングで67人を検証する。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)

経営指標悪くても従業員の数十倍の報酬!
財閥系不動産では明確な違いが判明

 不動産業界で年収1億円以上の幹部は67人いるが、居並ぶ面々は必ずしも財閥系や大手の幹部とは限らない。財閥系に比べたら新興ともいえる企業の創業者なども多額の報酬を受け取っているのだ。

 例えば、最大の6.72億円を受け取るのはオープンハウスグループの創業者である荒井正昭社長で、同じく創業者であるゴールドクレストの安川秀俊社長も3.51億円を受け取っている。

 そんな多種多様な不動産業界の「年収1億円以上」の経営幹部たちは、従業員の何倍の年収をもらっているのだろうか?見合う年収を受け取っているのだろうか?

 ダイヤモンド編集部では、経営トップの会長、社長のみならず役員を対象に、年収1億円以上の高額な報酬を受け取っている人物を業界別に集計した。1社から複数人が記載される場合もある。その経営幹部である人物の年収と従業員の平均年収を比較し、何倍の開きがあるかでランキングを作成した。数字が大きくランキングの上位にいるほど、従業員の待遇との格差が大きいことになる。

 また、本特集では高収入を単純に批判する狙いはない。ランキングには、年収額と併せて、PBR(株価純資産倍率)、ROE(自己資本利益率)、時価総額も掲載しているので、それらに「見合う年収」を得ているかどうかの判断の参考にしてほしい。今回対象としたのは不動産業界だ。

 では、不動産業界での「年収1億円以上」の経営幹部で、従業員の年収との格差が大きいのは誰なのか?トップはオープンハウスグループの荒井社長でなんと72.09倍ももらっていた。

 興味深い結果となったのが、三井不動産、住友不動産、三菱地所といった財閥系不動産の比較だ。ある会社は「従業員の年収も高く倍率も高い」、また、ある会社は「従業員の年収が低いのに倍率がやや高い」、別の会社は「従業員の年収は高いのに倍率が異様に低い」という際立った違いが生まれているのだ。

 そして、上位には全ての経営指標が業界平均を下回るのにもかかわらず、従業員をはるかに上回る数十倍の年収を受け取っている経営者も目立つ。

 オープンハウスグループ、ゴールドクレスト、ヨシコン、スター・マイカ・ホールディングス、シーアールイー、ウィル、三井不動産、ティーケービー、長栄、日本エスコン、AVANTIA、飯田グループホールディングス、FJネクストホールディングス、明和地所、住友不動産、ADワークスグールプ、パラカ、大東建託、三菱地所といった企業の幹部たちの年収は幾らで、従業員の何倍をもらっているのだろうか。次ページで実名と共に一挙に見ていこう。