近年、企業による社員待遇の向上が続いている。人手不足や物価の上昇など背景は複数考えられるが、なにより、企業が成長するためには年収アップで人を引き付ける必要がある。ダイヤモンド編集部では、統計専門調査会社の協力の下、最新のデータを反映した3年後の年収を大胆予想。特集『【最新版】3年後の予測年収1355社ランキング!全30業種で「勝ち組」はどこだ?』の#12では、サービス業界の予測年収を独自に推計し、全135社のランキングを作成した。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)
電通の3年後の年収が驚愕のアップ!
M&Aキャピタルは再び数百万円減少するか?
世間一般で「サービス業」といえば、飲食など接客を伴う業務を想像しがちだ。しかし、株式の分類でのサービス業は印象が異なる。広告代理店やコンサル、M&Aの仲介業者に人材関連会社など、非常に多様な業種が存在する。
特に、上場企業の平均年収の上位には広告代理店やM&Aの仲介業者などが並ぶ。注目すべきは、その高給ぶり。2023年9月期のM&Aキャピタルパートナーズの平均年収は、なんと2478万円で、23年度の全上場企業の中で堂々の1位となる。しかも、その2位である三菱商事の2091万円に大差をつけている。
とはいえ、M&Aキャピタルパートナーズの22年9月期の平均年収は3161.3万円だったから、実は1年で683.3万円も下がってしまっている。同社は中堅・中小企業をターゲットとしたM&Aの仲介で急成長してきたが、業績が社員の給与に反映される仕組みを取っているため、もろにその影響が出たのだ(M&A仲介業の現状は特集『M&A仲介 ダークサイド』を参照)。
同じく、サービス業界で高給なのが、広告代理店とリクルートだ。電通グループは1588.6万円、博報堂DYホールディングスが1157.9万円、リクルートホールディングスが1119.3万円。さらに、コンサルティング企業のシグマクシス・ホールディングスも1133.6万円、ベイカレントが1074.4万円と1000万円を超えている。他にもサイバーエージェントや楽天グループなどが、800万円前後の年収と、比較的高給だ。
一方、多種多様な業態が存在する業界のため、平均年収500万円以下の企業も多い。ある種の“給与格差”が大きいというのが、サービス業界の待遇事情だ。
そんな状況の中、3年後の年収はどうなるのだろうか。ダイヤモンド編集部では、統計専門調査会社の協力の下、24年3月期までの実績値から3年後となる26年4月期~27年3月期の年収を大胆予想した。
試算対象としたのは、サービス業界の135社だ。年収が業績などに連動することを前提に、各社の公表資料を用いて重回帰分析による予測モデルを作成、アナリストによる業績予想のコンセンサスデータを当てはめて試算を行った。
注目なのが、電通グループの3年後の年収だ。試算結果を見ると、驚きの増加額となった。その一方で、M&Aキャピタルパートナーズは激減するという試算結果に。その減少幅はどれくらいなのだろうか。また、1000万円を超えていた「超メジャーコンサル企業」が1000万円を割り込んだ他、サイバーエージェントと楽天グループも、少なくない額の減少という憂き目に遭うという結果となった。
ここまで挙げた企業の他に、日本郵政、エムスリー、明豊ファシリティワークス、ナガセ、セコム、パーソルホールディングス、MIXI、カカクコム、ベルシステム24ホールディングス、ダスキン、アイティメディア、パソナグループ、Gunosyなどの3年後の年収はどれくらい増えるのか?あるいは減るのか。一挙に見ていこう。