民間法人企業所得が大幅低下
倒産件数は増加、失業率も上昇へ

 輸出や設備投資に対する影響は企業の利益に直結することから、民間法人企業所得(会計上の経常利益に相当)は、従来予測の前年度比1.8%増から0.1%減へと1.9ポイント低下すると予測される。民間法人企業所得はコロナ禍の20年度を底に増加基調にあったが、トランプ関税の発動によって5年ぶりに減少へと転じる可能性がある。

 こうした状況は、労働者の所得にとってマイナス材料であり、個人消費を下押しする要因となり、民間最終消費支出は前年度比1.0%増から0.7%増へと0.3ポイント低下する見込み。GDPの5割超を占める個人消費が伸び悩むことによって、力強さに欠ける日本の経済状況はさらに厳しさを増していくとみられる。

 倒産件数は24年度に1万70件と11年ぶりに1万件超となったが、このような状況の中で25年度には1万574件(前年度比5.0%増)と従来予測より339件増加すると見込まれる。失業率は2.6%と0.1ポイント上昇すると予測される。

「内需のみに頼ることは困難
外需あっての内需と言わざるを得ない」

 なお、企業からのコメントのうち製造業からは、「米中関係の悪化や関税の問題で、自動車生産が減少する可能性が高い」(化学品製造)、「米国トランプ関税が今後のしかかってくるため、輸出などが落ち込む恐れがある」(鉄鋼・非鉄・鉱業)、「米国の第二次トランプ政権下における保護貿易主義経済が懸念される中、業界としては内需のみに頼ることは困難で、外需あっての内需と言わざるを得ない」(機械製造)、「今後、米国の現政権の自動車に対する関税政策の動向により、自動車部品の受注数に影響が予測される」(輸送用機械.器具製造)などの声が寄せられている。

「運輸・倉庫」からは、「アメリカ関税問題で輸出梱包の受注量が減少するかどうか。自動車関係の部品や工作機械の輸出にどう関係してくるか。予測できないのでどちらともいえない」、「主要取引先の中国向け輸出の低迷、加えて米政権の関税政策による先行きの不透明感がある」との声が挙がった。

図表:主な国・地域に適用される相互関税率主な国・地域に適用される相互関税率 帝国データバンク作成
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