
著名投資家ウォーレン・バフェット氏が来週主催する株主総会「資本家のためのウッドストック」では、これまでとは違う厄介な疑問が浮上するだろう。
バフェット氏率いる投資会社バークシャー・ハサウェイは、同社を含め古今東西のどの企業よりも多額の手元現金を保有しており、その額は約3180億ドル(約44兆8000億円)に上る。大半は子会社や投資からの着実な資金流入という、昔ながらの方法で積み上がったものだ。昨年これが大幅に増えたのは、アップル株をはじめ株式を大量に売却したためだ。
2016年に始まったアップルへの巨額投資を懸念する投資家もいた。同社の時価総額が昨年12月に過去最高値を付けて以降1兆ドル、つまり4分の1が目減りしたことを踏まえると、バフェット氏には先見の明があったことになる。
だがこの巨額の現金保有は、弱気相場が迫っているかもしれない中で株式を安く買いあさるという、壮大な計画の一環だろうか。関税で混乱が拡大すれば、金融危機の際にしたように優良企業を救済して再び大もうけできる、というのがバフェット氏の見立てなのだろうか。
まずはバフェット氏がアップル株を手放した理由を知る必要がある。バークシャーは16年から、一部投資家の不安をよそにアップル株を取得し始め、大量に買い増していった。単一銘柄ではおそらく史上最もリターンが大きい投資だった。バークシャーが売却を開始した時点の含み益は約1100億ドルだった。