運転する人だけではなく、乗っている人がみんな楽しいクルマを
柴:走りが良いと強調してはいますが、単に「運転する人だけが楽しむ」とか、「どうだカッコ良いだろう」というのではない、「大事な人を乗せて楽しんでもらう」ことに注力しました。もちろん直列6気筒に反応していただきたいし、後輪駆動にも反応していただきたい。しっかり楽しんでいただきたいという気持ちはありますが、運転する人が1人で楽しむのではなく、一緒に乗る人、周りの人たちと良い時間をしっかり共有してもらいたい。その思いが番上にあって、その下に乗り心地やデザインや安全性が来るんです。
これらを並べていくと、相反する要素も出てきます。それをどう両立させていくか。それが開発のポイントです。クルマを買うときって、どうしても何かを優先させて、何かを諦めるということが起きてしまいがちです。子どもができたら、もう自分の大好きなRX-7は諦めて売ってしまうとか。逆にお父さんが好きだから家族は我慢して硬いセダンに乗るとか。
F:ランエボとか(スバル)STIのことですね。「セダンだから安心だろ」と家族を煙に巻いて、あれを買うお父さんが多かった(笑)。
芝:いや、そうとは言っていませんよ。例えばの話です(苦笑)。運転手が「楽しい楽しい」というだけではいけません。大きなクルマの動きで、中にいる人も心地よくなるような乗り心地を追求しました。ドライバーは運転を楽しんでいるのに、後部座席に乗る人がスヤスヤ寝始めたりして。そうなるとドライバーは心に余裕を持って運転できる。そんなようなことをイメージしてクルマを造りました。
F:試乗したCX-80で兄貴分を乗せてスキーに行ったのですが、走り出して10分もしないで本当にスヤスヤ眠り始めました。私の場合は「心に余裕」というよりも「なに寝てるんだよ……」と軽くムカつきましたが(笑)。
柴:そこは寛大な気持ちで運転していただいて(笑)。

このお話は次号に続きます。来週は、試乗で気になった異音について切り込んでいきます。
(フェルディナント・ヤマグチ)
3列シートの仕様、何を選ぶ?
こんにちは、AD高橋です。
3列シートのクルマを選ぶ際、どの仕様を選ぶか迷うポイントの一つに「2列目シートの形状」があります。