
年初来の“円高進展”ドル円相場の今後は
大きなカギ握る日米の関税見直し交渉
2025年に入りドル円相場は、急速に円高に進展し非常にボラタイルな相場となっている。
東京外国為替市場では4月21日に140円台となったのに続いて22日は一時139円台まで円高が進み、去年9月以来約7カ月ぶりの円高水準だ。
その背景には、(1)1月の日本銀行による利上げ、(2)2月以降の米景気減速懸念、(3)米国による関税発動後の「米国売り」が挙げられる。
トランプ政権は金融市場のトリプル安の沈静化を狙って、「相互関税」の日本などへの発動の「90日停止」を決めたが、今後の円ドル相場の展開も、日米の関税見直し交渉がどのように進むかが大きなカギになる。
だが米国側からは日本に求めているとされる問題は、日米安全保障の日本の負担増まで幅広く、一方で米国側も貿易赤字が目に見えて減るような特効薬は持てていない。短期間の関税見直し交渉が成果を上げられるのかは見えていない。
「相互関税」などのトランプ関税政策が仮にこのまま実施される場合には、米国経済はスタグフレーションに陥る可能性があり、米長期金利の低下が続く見通しだ。一方で日本経済も自動車などを中心に米国向け輸出鈍化や海外経済減速の影響から“ゼロ成長”にまで成長率が鈍化、円長期金利上昇の余地も限られるとみる。
ドル円相場は25年末には130円台半ばの円高が定着すると予想される。