「マネジメントをやりたくない」
ミドル層の管理職に必要なものとは?

 具体的には、新人が入社したら、管理職は「この人は今何ができて、何がしたくて、会社としてこの人に何を期待するか(これは専門的には「Will(本人がやりたいこと)」「Can(本人ができること)」「Must(会社が求めること)」と言います)」を一人ひとりについて面談などを通じて確認する必要があります。

 ある新人がパワーポイントの資料作りが得意でも、エクセルでのデータ集計は苦手だったとしましょう。この場合のストレッチした目標の一例として、「データ集計をもとにプレゼン資料を作成する」という、強みを活かしながら弱みも改善できる課題を挙げることができます。

 しかし現実には、このような丁寧なマネジメントを行う余裕のある管理職はそうそういないものです。人手不足や業務過多で「マネジメントをやりたくない」という人も増えています。

 実際、多くの企業では「プロフェッショナル」という名の専門職キャリアパスを設け、マネジメントを回避できる選択肢を用意しています。

 40代以上の管理職世代は「上から言われたことは問答無用でやる」文化で育ってきたため、若手が純粋な疑問として「この仕事は何のためにやるんですか」と質問しただけでも、「生意気」「癇に障る」と思うかもしれません。

 彼ら自身が「マネジメントされた」わけではなく、言われたことをこなす中で成長してきたため、マネジメントの重要性に気づきにくいのです。

 そんな中、現在中間管理職(課長、部長クラス)にある人は人手不足で、ただでさえ「プレイングマネージャー」としての業務に追われ、満足にマネジメントの時間が取れません。その結果、若手が離職して育たず、仕事はますます中間管理職に集中する、新しく若手が入っても誰もマネジメントをする時間がない……という悪循環から抜け出せなくなっているのは深刻な問題です。