
2025年度は、「売上高100億円」を目指す経営者がさらに増える1年になるかもしれない。政府は今春から、地域経済を牽引する「100億企業」を創出すべく、経営者や会社全体の動機づけを目的とした「100億企業宣言」や、これら宣言企業に1社最大5億円の設備投資資金を補助する「成長加速化補助金」(5月8日から1次公募申請受付開始)などの政策をスタートさせた。現在、全国の100億企業はどのような状況なのか。社数や業種別の内訳、さらに今後3年間で誕生する『NEXT 100億企業』の見通しについて、帝国データバンクが最新調査結果をもとに解説する。(帝国データバンク 情報統括部 情報編集課長 内藤 修)
「100億企業」は1万5000社超
業種別では卸売業が最多
本政策の重要なポイントは、中小企業の経営者が自社のさらなる成長を強く志向する“きっかけ”を創り出すことにある。インフレが進む日本経済において、コストカット型の現状維持経営はマイナス成長と同義といえる。賃上げや価格転嫁を実現し、人材確保と高収益化を進めるためには、「売上高100億円」をスローガンとした事業拡大が必須となる。こうした「成長志向の中小企業」を政策的に後押しする。
帝国データバンクの調べによれば、2023年度決算(2023年4月期~2024年3月期、単体)時点の「100億企業」(=売上高100億円以上の企業)は、全国に1万5159社あることが判明した。これは国内企業(約149万社)全体の100社に1社を数え、2022年度(1万4569社)から590社増加した。