グーグル 「AIの脅威」が現実にPhoto:Nathan Howard/gettyimages

 グーグル検索は結局のところ、断ち切るのがそれほど難しい習慣ではないのかもしれない。

 米アップルのサービス担当上級副社長、エディ・キュー氏は7日、自社ウェブブラウザー「サファリ」を通じたグーグル検索数がここ2カ月で減少したと明らかにした。米グーグルに対する米司法省の反トラスト法(独占禁止法)訴訟で証言に立った同氏は「これは20年以上起きていなかったことだ」と述べた。減少の要因としては、「チャットGPT」や「パープレキシティ」などの生成AI(人工知能)サービスの利用者が増えたことを挙げた。

 グーグルは痛手を被った。報道機関が発言を報じ、同社を傘下に持つアルファベットの株価は7日に7%超下落して終えた。アルファベットの時価総額は約2500億ドル(約36兆2000億円)吹き飛んだ。アップルの株価も終値で1%超下落した。「iPhone(アイフォーン)」メーカーのアップルにとってサファリ経由で流入するグーグルのトラフィックはうまみのある提携の柱であり、年間200億ドルを超える支払いを受けている。

 グーグルは過去9カ月の間に連邦政府の反トラスト法訴訟で敗訴が2件続いており、今回のアップル幹部の発言はグーグルを覆う不透明感をさらに強めただけといえる。いずれの訴訟でも、政府は何らかの形でグーグルを解体しようとしている。その根拠となるのは、グーグルがインターネット検索市場を支配しているため、米マイクロソフトのような資金力のある競合他社でさえ参入の機会がほとんどないという主張だ。調査会社スタットカウンターのデータによると、世界のインターネット検索における先月のシェアはグーグルが89.7%と圧倒的で、マイクロソフトの「Bing(ビング)」が3.9%で2位となっている。