

企業のソーシャルウェブの対応というと、「対顧客」「対市場」をイメージすることが多いと思うが、「対社内」のコミュニケーションにも注目が集まり、ニーズが生まれている。前出のYammerは、その一例だ。
ベストセラー著者であり、マーケティングとITのオピニオン・リーダーとしてTEDやSXSW(サウス・バイ・サウス・ウエスト)などでも著名なブライアン・ソリス(Brian Solis)氏は、今年4月22日の自著の邦訳「エフェクト 消費者がつながり、情報共有する時代に適応せよ!」出版記念講演で、ソーシャルウェブをはじめとするコミュニケーション革命で、マーケティングが変貌するとともに、インナー・ブランディングが重要化することを指摘した。
コンシューマーの情報と体験の共有が進み、顧客と企業の関係性は大きく変化しつつある。その中で、顧客のブランドへのエンゲージメントを獲得するにはどうすればよいのか。オンライン靴小売りのザッポスの例(参考「ザッポス伝説」)なども交え、ソリス氏は、企業文化の醸成や社員一人ひとりがブランドをつくると指摘し、社員と企業のコミュニケーションも、コンシューマー同様に革新が求められていると説いた。
ソリス氏の論と符合する話は、その半年ほど前に、ワイデン・アンド・ケネディー(W+K)のBlake Harropマネージング・ディレクターからも聞くことができた。
W+Kは、ナイキなどの斬新な広告やキャンペーンを手掛けた広告会社だ。ちなみに、W+Kの東京事務所は、社員一人ひとりがブランドをつくるということをクリエイティブな形で実践している。この社員紹介ページも、その顕れだ。
このように複数のウェブ・コミュニケーションのオピニオン・リーダーたちが共通のメッセージを唱えている。つまり、社内のコミュニケーションを変革する時代の到来だ。すると、社内コミュニケーションへのソリューションやサービスが必要になる。
実は、大企業における社員のエンゲージメントは、日本は先進国中で最低水準だ。これから脱却するためにも、社内コミュニケーションや企業文化づくりが大切だ。