

ここまで述べたメガトレンドに加え、日本でみられる背景について補足したい。
サブプライム、そしてリーマンショックに伴う企業予算の引き締めは、日本のエンタープライズ分野のスタートアップに暗い影を落とした。予算の縮小は、新規の購買を大幅に減らし、スタートアップのソリューションはなかなか受け入れられなくなった。
しかし、アベノミクスで景気は上昇基調となり、2008年からのトンネルを抜け出しつつある。ファンダメンタルの懸念はあるが、日本市場が元気になりつつあるのはもはや事実と言ってもいいだろう。これはエンタープライズ市場にプラスとなる。
また、仕事のクラウドソーシングのスタートアップへの投資が日本で続いている。たとえば、クラウドワークス(エンジニア、デザイナー)、ランサーズ(クリエイター、エンジニア)、PurpleCow(デザイン)などだ。これだけでなく昨年からエンタープライズ市場でのスタートアップが日本でも盛り返しつつある印象を受ける。
もちろんコンシューマー分野でのニーズは続くが、エンタープライズ市場が見過ごされていた時代が過ぎ去ったということだ。米国からタイミングは遅れたが、日本でも期待したい。もっとも、米国とは相似形でスタートアップが育つとは思えない。日本市場の特性と人材に合致したテーマと展開が、求められるだろう。