何を使ってパワー暗記をするのか
内容に興味ある素材を選ぶのが第一優先

 さて、何を使ってパワー暗記をしたらいいのだろう。英語学習は継続が最も大切だ。冒頭で紹介したシュリーマンがベストセラー小説を暗記したように、内容に興味を持てる素材を選ぶことを第一に優先しよう。一定期間は興味のある1つか2つの分野に絞って進めるといい。同じ語彙に出合う頻度が多くなるし、アウトプット訓練もしやすいからだ。以下、素材の案を箇条書きで挙げる。

●ニュース記事、コラムやブログ、エッセー、ノンフィクションの本

●会話形式の素材:深い話がじっくりとできるようになるには会話調の文章だけでは不十分なので、覚えるのも会話だけに偏らないほうがいい。好きな映画や海外ドラマの中からお気に入りのシーンを選んで覚えるくらいがいいだろう。「スクリーンプレイシリーズ」も活用できる。

●普段から読んでいる翻訳版の洋書の原書

●生成AIの活用:どうしても業務関連の文章でパワー暗記をしたいなら、お勧めはMicrosoft BingのAIチャット。3つある選択肢から「独創性(クリエイティブ)」(More Creative)を使って会話やプレゼン、モノローグを作らせるとよい。ChatGPTが優等生的で退屈な会話を生成しがちなのに比べて、Bingは広がりと深みのある内容が期待できる。生成された会話の一部から、さらに深みのある会話を作らせれば、英語教材には登場しないような文が出てくる。生成AIを使う上での問題点は音声。無料ツールでは自然な読みが作成できない。

●Voice of America:Learning Englishの中のオーディオセクション。類似した内容のセクションが複数あり紛らわしいが、「VOA "audio programs"」で検索するとよい。

●語彙制限本:日本人向け多読教材として秀逸なラダーシリーズはお勧め。一部は別売り音声がある。

●ESL-Bits:文学作品が多いがListen and Read セクションにはコラムやインタビュー、スピーチなどが豊富

●Japan Times Alpha:英語のニュースサイトの中ではお勧め。このレベルの文体だと口頭コミュニケーションにそのまま使える。Club Alphaの会員になれば音声付きの記事あり。

●CommonLit.org:アメリカの5年生から12年生(日本の小学5年生~高校3年生)向けの教育用読書テキストを無料で提供。フィクションからノンフィクションまで。音声読み上げ機能あり。

●アマゾン:洋書で音声付きのものを検索すると、サンプルで読めるページは覚えたくなるような文章が多い。サンプルテキスト画面のスクリーンショットと、サンプル音声を録音すれば、お手軽だ

●Ted.com:チャレンジ精神の高い人は気に入ったプレゼンを丸ごと数本、ジェスチャーまでまねて覚えてしまうとアウトプット能力が各段に伸びる。