インプットで暗記に必要な音読回数は?
アウトプットは書く・添削・暗唱をミックス

 さて、インプットとアウトプットの具体的な方法を手順に沿って紹介する。

1.音読を伴った大量のインプットをする

(1)選んだ素材を黙読して語彙や文法事項を完全に把握していることをチェック。

(2)ワンセンテンスごとに音声を聞いてからリピート。間違った発音で音読・暗記しないように発音をチェック。すらすらとリピートできるまで行う。以降は基本、音声不要。

(3)音読と暗記の開始。意味内容をイメージしながらすらすら言えるようになったら文字から目を離して発話。自分だったらどう話すか想像して、その文の主人公(ニュースキャスター、ビジネスプレゼンター、作家、映画や小説の主人公など)になりきって話す。

(4)テキストなしで暗唱できるところまでなるべく短期間で持っていき、あとは定期的に復習。

注意点1「シャドーイングではダメなの?」
(2)で、発音矯正目的ならばシャドーイングを加えるのもよい。リピーティングは、構文を把握して(無意識に)自分で組み立てられなければリピートできないので、スピーキング力をつけるのに効果的。シャドーイングも文字に頼る音読もインプットなのに比べ、リピーティングは半分アウトプット。

注意点2「暗記に必要な音読回数は?」
素材の長さや学習者のレベルによりけりだが、1つの素材を暗記するには少なくとも合計50回程度の音読が必要なことが多いようだ。毎日5回音読するなら10日間ということ。

●音読の速度:すらすらと発話できる自分が快適な速度でよい。あえて数字を挙げるなら、1分間当たり、まずは120語を目指す。これは英語ネイティブの遅めの日常会話のスピード。可能ならば次第に速度を上げて150語を目指す。これはアメリカ人の平均速度。早く話そうとして発音や英語のリズム感、イントネーションを犠牲にしないこと。(参考記事『英会話で「早口=流ちょう」は大誤解!中級以上の人が陥りやすい罠』

2.(インプットに比べて少量の)アウトプットをする

(1)興味のある事柄について、短い文章を頻繁に書く。とりとめなく思いついたままを書きつづるのでなく、結論ファーストの構成を意識したほうが実践的だ。
●暗記した文章の内容に対する自分の意見。賛成か反対か。その理由は。
●暗記した文章のトピックについて自分の知見を伝える。

(2)書いた文章を添削してもらう。
●オンライン英会話の講師に添削してもらう。
●Grammarlyの有料版で添削:無料版に比べチェック範囲も広く、また、より自然で適切な表現の提案とその理由も教えてくれる。
●生成AIを使って添削:例えば次のようなプロンプトが使える。
Can you check my grammar and spelling?
Can you improve my word choice and sentence structure?
Can you make my writing more concise and clearer?
Can you suggest a better way to phrase this sentence?

(3)添削された文をすらすらと暗唱できるまで練習する。棒読みでなく、誰かと実際に話しているつもりで行うことが大切。
●アウトプット訓練は1つに絞らず、テーマを決めて独り言を即興で言ったり、オンライン英会話の活用なども並行したり、複数を並行して行いたい。