祭りに参加できるのは「本気」なロードスター好きだけ

 祭典の敷居は高い。誰でも気軽に参加できるわけではない。

 第一関門は応募方法だ。このデジタル時代に、駐車券の応募は何と往復はがきである。あえて面倒でコストのかかる方法を取っているのだ。なぜか。

「手間こそが熱意の証」であるからだ。Web経由で応募が可能であれば、「とりあえず」の客が大勢応募してくる。手間とカネをフィルターにすれば、熱量の低い人を排除することができる。さらに、応募ハガキには当日乗ってくるクルマのナンバー記入が必要で、当選権を転売することは不可能だ。こうして転売ヤーを排除しているのだ。

 さらにさらに。当選した当人に送られてくる駐車券は、当日現物がなければ入場できない。入口でスマホに撮影したチケットの画像を見せても、「絶対に」入れてくれない。券を忘れたら、泣こうが騒ごうがオシマイである。

 仮に一緒に来場した同乗者のチケットがあったとしても、ドライバーが忘れたらその人だけが締め出されるのだ。昼食引換券も同断。なくしたらアウト、昼飯ヌキである。

 昼食券を忘れた人は、場内のケバブキッチンカーでお買い求めの上食べてください、という徹底ぶりだ。例外は認められない。厳しい。

 かように厳しい祭典でも、今年の応募は3011台。幸運にも当選したクルマが1100台。狭き門である。入場は9時半までで、この時間を過ぎると駐車場に入ることができなくなる。しかし時間を過ぎても周辺にはたくさんのロードスターが走っている。

 選に漏れた人が、せめて雰囲気だけでも楽しもうと現地にやってきてツーリングを楽しんでいるのだろう。来年こそ当選しますように。

2ケタナンバーのNAロードスターも多かった2ケタナンバーのNAロードスターも多かった
自慢のエンジンルームを見てもらうため、ボンネットを開けた状態で駐車場に停まっているクルマも多い自慢のエンジンルームを見てもらうため、ボンネットを開けた状態で駐車場に停まっているクルマも多い Photo by A.T.

平均年齢51.5歳、男女比率は8:2

 当日の参加者は2632名。そのうち33%が初参加である。新顔が多いのは実に結構。

 平均年齢は51.5歳。ロードスターの世界も高齢化が進む。

 男女比率8:2。男の世界である。

 50代が最多で40%、60代が23%。残りの20~40代はほぼ同率。0~12歳のお子様も60人ほどいたという。将来は彼らもロードスターにハマることになるのだろう。英才教育である。

 それにしてもなぜ軽井沢なのか。もっと広い駐車場のある場所で、希望者全員を参加させる方法はないものか?運営の方に話を伺うと、「変える気もないし、予定もない」とにべもない。軽井沢は新幹線で東京からわずか1時間。会場となるパーキングは正真正銘の“駅前”である。

 自分のクルマを見せ、人のクルマを見る場から、「人に会う場」へと様変わりした昨今、電車利用の参加者も多い。アクセスを考えると、これ以上の場所はないのだという。

 首都圏からほどよく距離があり、行き帰りのドライブも楽しい。かように絶妙な距離感が、毎年の“聖地巡礼”を成立させているのである。